“女優イ・ジウン”に新たな歴史を刻んだIUにインタビュー。『ベイビー・ブローカー』は「母役を演じてみたいと思った時、運命的に出会った作品」 - 2ページ目|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
“女優イ・ジウン”に新たな歴史を刻んだIUにインタビュー。『ベイビー・ブローカー』は「母役を演じてみたいと思った時、運命的に出会った作品」

インタビュー

“女優イ・ジウン”に新たな歴史を刻んだIUにインタビュー。『ベイビー・ブローカー』は「母役を演じてみたいと思った時、運命的に出会った作品」

「撮影現場はいつも和気あいあい、サプライズで誕生日も祝ってもらいました」

子役のイム・スンスは『ベイビー・ブローカー』の撮影現場のムードメーカーだったという
子役のイム・スンスは『ベイビー・ブローカー』の撮影現場のムードメーカーだったという[c] 2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

劇中でソヨンはダークカラーのスモーキーメイクをしたまま、サンヒョンとドンスに対して初めは初めは一貫してつっけんどんな態度をとる。しかし、時間が経つにつれ、ソヨンはサンヒョンとドンス、ヘジン(イム・スンス)に深い絆を感じ、心を開くことになる。 電気が消えた部屋で横になり、彼らに向けて「生まれてくれてありがとう」と伝えるシーンは『ベイビー・ブローカー』の最高の名場面。また、是枝監督が観客に伝えたかったメッセージがこもっている台詞でもある。

「このシーンを撮影するころにはキャストたちもすっかり仲良くなっていて、お互いに気を許せるようになっていました。特にヘジン役のイム・スンスくんがいつも現場の雰囲気を盛り上げてくれていたので、ぎこちなさを感じることは一切なく、常に和気あいあいな感じでしたね。おかげで完全にソヨンになりきって、より心を込めて演技をすることができました。『生まれてくれてありがとう』という台詞は、初めてシナリオを読んだ時から最も大事なシーンだと思いましたので、ちゃんとしおりを挟んでおいた記憶があります。最初は少し力を入れて、悲しみを抑えている感じで台詞を言ってみましたが、『この瞬間ソヨンが感じる感情って、きっと悲しみではないだろうな』と思って、淡々とした感じで言ってみると、是枝監督も『こっちがいい』と言ってくれました」

赤ん坊の新しい家族を探すための旅に出たソヨン
赤ん坊の新しい家族を探すための旅に出たソヨン[c] 2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

3人だけでなく、ブローカーのサンヒョンとドンスを現行犯逮捕しようと静かに追いかける刑事を演じたペ・ドゥナイ・ジュヨンとの絆も深かった。2人は『ベイビー・ブローカー』の撮影中に誕生日を迎えたイ・ジウンのために、手作り料理でもてなしたという。


「実は2人と共に撮影するシーンはそんなに多くなかったんですが、ずっとロケ地のホテルで一緒に過ごしていたので、仲良くしていただきました。たくさんおしゃべりしたり、ユンノリ(韓国の旧正月に行われる、日本のすごろくのような伝統的な遊び)をしたり、毎日が楽しかったです。とはいえ、まさか誕生日サプライズを用意してくれるとは想像すらもできなかったのでびっくりしました。感謝してもしきれないほど暖かくお祝いしてもらって、本当にうれしかったです」

イ・ジウンは、もう一つの記憶に残るエピソードとして荒々しい"辱說演技"を挙げた。シナリオ上には日本式の悪口で表記されていたが、自ら是枝監督に「韓国の辱說(相手を侮辱するようなスラング)に変えたほうがよさそう」と提案したという。

「シナリオに書いてあった日本式の悪口はあまりにもまろやかな感じだと思いました。韓国の辱說のほうがよりストレートで、インパクトが強いんじゃないかなと。母とマネージャーの前で何度も辱說を練習して、撮影現場で披露すると、是枝監督もすごくおもしろがっていました(笑)」


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