山田太一の傑作小説「異人たちとの夏」をサーチライトが映画化!アンドリュー・ヘイ監督が現在と過去の狭間を描く
シャーロット・ランプリングのアカデミー賞主演女優賞ノミネート作『さざなみ』(15)、『荒野にて』(17)で世界中から絶賛を集めたイギリス映画界の俊英アンドリュー・ヘイ監督がサーチライト・ピクチャーズと初めてタッグを組み、第1回山本周五郎賞に輝く山田太一の小説「異人たちとの夏」を再映画化することが明らかになった。「Variety」など複数のメディアが報じている。
孤独に暮らすシナリオライターの主人公の前に、幼いころに死別した両親が現れることから始まるファンタジックな物語が展開する「異人たちとの夏」。原作小説は1987年に発表され、1988年には『転校生』(82)や『時をかける少女』(83)で知られる大林宣彦監督のメガホンのもと、風間杜夫主演で映画化。その後も何度も舞台化されるなど世代を超えて愛され続け、2003年には海外でも刊行されている。
今回の再映画化のタイトルは『Strangers』。中年に差し掛かった売れっ子脚本家のアダムは、ある夜ロンドンにある、人気のないタワーマンションで謎めいた隣人ハリーと出会う。時を同じくして子ども時代を急に懐かしく感じるようになったアダムは、幼いころに住んでいた家を訪ねるのだが、そこで30年前に亡くなったはずの両親が、亡くなった時と同じ年齢のまま生きていることを知る。よみがえった両親との絆に深い慰めを感じたアダムは、現在と過去の間に迷い込んでいくことに。
主人公のアダムを演じるのは、人気ドラマシリーズ「SHERLOCK」や『1917 命をかけた伝令』(19)のアンドリュー・スコット。彼の両親役には「ザ・クラウン」や『ファースト・マン』(18)のクレア・フォイと『リトル・ダンサー』(00)で主人公のビリー・エリオット役を演じて一世を風靡したジェイミー・ベル。そしてアダムの平凡な日常に変化をもたらす謎めいた隣人のハリー役を『ロスト・ドーター』(Netflixにて配信中)のポール・メスカルが演じる。
イギリス映画界を代表する実力派キャストと監督、そして幾多の名匠と共に様々な傑作を世に送りだしてきたサーチライト・ピクチャーズのタッグで、山田太一の名作がどのように生まれ変わるのか。本国では2023年公開予定。今後届けられる続報に注目していきたい。
文/久保田 和馬