禍威獣やメフィラスなど500点超!デザインワークスに込められた、庵野秀明の"ウルトラマン愛”
庵野秀明が明かす『シン・ゴジラ』とのつながり。続編の可能性は?
さらに本書には、庵野が本作の企画の原点からオリジナルへの想い、制作の一連を振り返った約1万2000字に及ぶ手記も掲載されており、こちらも制作の舞台裏を知るのにはもってこいの充実の内容となっている。
その一部を抜粋すると、物語の構成について「基本は“初代”の流れの分解と再構成」と表現する庵野は、「本編は物語の基本である“出会いと別れ”を主題としています。これも初代と同じというか、シリーズ全体を圧縮した踏襲すべきテーマなのかなと」と、ストーリー面でもオリジナルをリスペクトしたことに言及。
また、「ウルトラマン」のオープニングで見られた前作「ウルトラQ」のタイトルから爆発ワイプでタイトルが出るという表現を踏襲したことに触れ、「該当する前作が作品世界的に存在しないので、メタ的な理由しかないのですが、『シン・』というタイトルとスタッフの共通点、なんとなくつながっているような世界観から『シン・ゴジラ』のタイトルロゴにしました」と明かす。
ちなみに、前述したゴジラのCGモデルを流用したゴメスの登場と同様に、『シン・ゴジラ』とのつながりは本編の随所に見受けられる。 “シン・”というタイトルや、“巨大不明生物”という用語だけでなく、政府の人間として竹野内豊をキャスティングしたという共通点に気付いた『シン・ゴジラ』ファンも少なくないだろう。
庵野の手記では、劇中に登場する禍威獣や外星人のセレクトについては「アバン、禍威獣×2、ザラブ星人、メフィラス星人、ゼットンを操るゾーフィというテレビシリーズ5話分の流れは極初期から考えていました」と明かし、「禍威獣だけだと話の流れのパターンが似てしまい、人間サイドのドラマを作りにくいので、後半は宇宙人との話にしました。バラエティー豊かなエピソードが詰まっているのも初代の魅力なので、それもなるべく踏襲しようと試みました」と隅々にまでオリジナル愛を行きわたらせたことを説明。
ほかにも手記のなかでは、ウルトラマンや禍威獣、外星人のデザインコンセプトが庵野の口から直接語られており、先で紹介したデザイン集と併せてチェックしていくとさらにそのこだわりを感じることができる。また、編集や音響、VFXなどのこだわりも語られており、最後には続編の可能性についても言及されているので絶対に見逃せない。
パンフレットとデザインワークス、2冊合わせてチェック!
そして劇場用パンフレットには本作の詳細なストーリーをはじめ、 “ウルトラマンになる男”神永新二役の斎藤工や、神永のバディとなる浅見弘子役の長澤まさみ、“禍特対”班長である田村君男役の西島秀俊らメインキャストのインタビューも掲載。さらに樋口監督や准監督の尾上克郎らスタッフ陣のインタビュー、貴重な絵コンテや豊富な劇中カットなども掲載されているのでこちらも注目だ。
「デザインワークス」も劇場用パンフレットも、ストーリーの核心に触れる内容が含まれているので本編鑑賞前にはうっかり開かないように気を付けてほしい。パンフレットと「デザインワークス」の両方を読めば、二度三度といわず何度でも劇場に足を運び、そのディテールを確認したくなること間違いなしだ。是非とも入手して、『シン・ウルトラマン』の世界をより深く堪能してほしい。
文/久保田和馬
本文80P・オールカラー・A4・保護袋入り
価格:2,200円(税込)
監修・手記執筆:庵野秀明
発行:カラー
発売元:グラウンドワークス