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「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022」、才能が光る国際コンペティション10本をチェック

コラム

「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022」、才能が光る国際コンペティション10本をチェック


果たして今年は、どんな才能が花開くことになるのか?まずは、すでに世界的に熱い視線を浴びている国際コンペティション部門の10本の見どころをご紹介。

父の笑顔をを取り戻すためにコメディアンを目指す少女『コメディ・クイーン』(スウェーデン)

『コメディ・クイーン』(20/スウェーデン)
『コメディ・クイーン』(20/スウェーデン)[c]Ola Kjelbye

母の死という深い悲しみを負った13歳のサーシャが、コメディアンとなって、父親をはじめ多くの人を笑顔にしようと奮闘していく。彼女が、ステージに立つまでの不安と緊張にハラハラさせられつつも、じんわりと心に沁みこむ感動作。今年のベルリン国際映画祭ジェネレーションKplus部門で、作品賞に当たるクリスタル・ベア賞を受賞した。
日本でも「わたしは倒れて血を流す」が出版されているイェニー・ヤーゲルフェルトの児童書を基に映画化を手掛けたのは、スウェーデン人監督のサナ・レンケン。本作は彼女の長編2作目となるが、デビュー作『マイ スキニー シスター』(15)でもベルリンの同部門でクリスタル・ベア賞を受賞していて、2作続けての快挙となった。

ガラスに描かれた絵で紡ぐアニメーション『ザ・クロッシング』(フランス、ドイツ、チェコ)

『ザ・クロッシング』(21/フランス、ドイツ、チェコ)
『ザ・クロッシング』(21/フランス、ドイツ、チェコ)

ある家族が内乱を逃れ、親戚の住む町を目指して列車に乗るも、キョナとアドリエルの姉弟以外は検問で捕えられてしまう。そこからキョナたちは、両親と再会するために、命懸けの旅に出る。ガラスに描かれた油絵を少しずつ直して動きを持たせ、長編のアニメーションに仕上げたという1作は、完成するまでに10年以上を費やしたとか。
本作で長編デビューを果たしたフローランス・ミアイユ監督は、すでに短編でカンヌ映画祭、クレルモン=フェラン国際短編映画祭、セザール賞などで数多く受賞している実力派だ。本作は、2021年のアヌシー国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門でプレミア上映され、審査員特別賞を受賞した。

未完全な家族のドラマとSF設定の融合『とおいらいめい』(日本)

『とおいらいめい』(22/日本)
『とおいらいめい』(22/日本)[c]ルネシネマ

彗星の衝突により人類の滅亡が数か月後に迫った2020年。小学生だった1999年にノストラダムスの予言を信じて家出したことがある長女の絢音と次女の花音、その後に生まれた異母妹の音という、互いに踏み込めずにすれ違う3姉妹は、初めて一緒に生活することに。世界の終わりを前に、彼女たちは本当の家族になれるのか?
未完全な家族を描くドラマと、世界の終焉というSF設定が見事に融和した1作。3姉妹を演じた高石あかり、吹越ともみ、田中美晴がそれぞれの役柄にピタリとはまっている。監督は、やはりSF設定が光る『押し入れ女の幸福』(13)で2014年の本映画祭短編コンペティション部門の最優秀作品賞を受賞した大橋隆行で、長編でも、細部までこだわる演出の力を存分に見せつけている。

※高石あかりの「高」ははしご高が正式表記

実話に基づき、少女の目から戦争を映し出す『ファルハ』(ヨルダン、スウェーデン、サウジアラビア)

『ファルハ』(21/ヨルダン、スウェーデン、サウジアラビア)
『ファルハ』(21/ヨルダン、スウェーデン、サウジアラビア)[c]TaleBox 2021

舞台は1948年のパレスチナ。小さな村に住む14歳のファルハは、周囲からの結婚圧力をはね除けて、都市での教育を受けることを望んでいた。しかし、国内の情勢は悪化の一途をたどり、村にも危険が迫ってくる。扉の隙間から見える戦禍の様子が、観客の恐怖心をあおる本作は、優れた戦争映画であるとともに、アラブ社会における女性の自立を描く物語でもある。
ファルハ役のカラム・ターヘルは、演技未経験ながらも力強い存在感を発揮。母が聞いたという難民女性の実体験にインスパイアされて脚本を書き、長編デビューを果たしたのは、ヨルダン人監督のダリン・J・サラム。2021年のトロント国際映画祭でプレミアされ、釜山、ローマ、ヨーテボリなどの映画祭でも上映された。

自堕落な息子に無償の愛を注ぐ気丈なシングルマザー『彼女の生きる道』(フランス)

『彼女の生きる道』(21/フランス)
『彼女の生きる道』(21/フランス)[c]Domino Films


娼婦の仕事に誇りを持つシングルマザーのマリー。ある時、息子が学校を退学になるが、料理に興味を持つ息子をトップクラスの調理師学校に入学させようとする。多額な学費を支払うために、マリーは必死に働いていくが…。自堕落な息子の幸せをひたすら願い、無償の愛を注ぐという気丈な女性の生き様を讃えた人間ドラマ。
たくましいマリーを演じたのは、『My Donkey, My Lover & I』(20)でセザール賞の主演女優賞受賞を果たし、本作の演技で2年連続ノミネートされたロール・カラミー。監督のセシル・デュクロックは、同じカラミーが主演で娼婦役を演じた『Back Alley』(14)がカンヌ映画祭批評家週間で上映され、セザール賞の最優秀短編賞を受賞している。


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■SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2022
日程:【スクリーン上映】7月16日(土)~7月24日(日)、【オンライン配信】7月21日(水)~7月27日(水)
会場:SKIPシティ 彩の国 ビジュアルプラザ 映像ホールほか
内容:国際コンペティション、国内コンペティション(長編部門、短編部門) ほか
URL:http://www.skipcity-dcf.jp/
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