「これは多くの人が自問自答している問題」いま注目の“兄弟クリエイター”が語る、「ザ・ツーリスト 俺は誰だ?」の普遍性

インタビュー

「これは多くの人が自問自答している問題」いま注目の“兄弟クリエイター”が語る、「ザ・ツーリスト 俺は誰だ?」の普遍性

「ジェイミー・ドーナンの魅力が存分に発揮されている」

本作の見どころとして特に強調すべきは、これまでワイルドな役柄を得意としてきたドーナンの新境地ともいえる演技に、壮大なロケーションだ。

【写真を見る】“次期ジェームズ・ボンド”の候補とウワサのワイルド系俳優が、記憶喪失で苦悶の表情
【写真を見る】“次期ジェームズ・ボンド”の候補とウワサのワイルド系俳優が、記憶喪失で苦悶の表情[c] Two Brothers Pictures & All3Media International

まずは記憶を無くした男の苦悶する姿、謎の女性とのロマンスや警官との軽妙なやりとり、そしてアクションシーンに至るまで様々な表情を見せるドーナンについて、ハリーとジャックは口をそろえて熱烈な賛辞を送る。「ジェイミーはすばらしい俳優で、この作品での彼はとても謎めいています。自分が何者で、なぜこのようなことが起きたかを探る旅をしながら、精神的な旅もしていく。初めてジェイミーに会った時、私はとても魅力的な人だと思ったのですが、その魅力がこの役柄にも存分に発揮されています」とハリーは語る。

どこまでも続く砂漠地帯“アウトバック”の壮大なロケーションも必見!
どこまでも続く砂漠地帯“アウトバック”の壮大なロケーションも必見![c] Two Brothers Pictures & All3Media International

またハリーが「広大な赤い大地で迷子になるのはとてもドラマチック」だと語るように、物語の大半は南オーストラリアで撮影が行われ、壮大で美しいアウトバックの景色が主人公の喪失感を駆り立てていく。「舞台をどこにするか話し合った時、人里離れた場所でなければならないと思い、かつてアウトバックをドライブした時のことを思い出しました」とジャックは明かす。「埃の雲と、あの熱のゆらめき。なにもないし誰もいない。なにかあっても誰も助けてくれない。そんな状況に主人公を置きたかったのです」。

シーズン2も決定!「なにかを変えようなんて思っていない。視聴者の皆さんが楽しんでくれれば」

自分が何者なのかを探ろうとする男を描く本作のテーマについて「実存的なスリラー」であると表現するハリーは、「これは記憶を失っていない多くの人がいまでも自問自答している問題であると思います」と、誰しも共感し得るものであると説く。「視聴者の皆さんの心に残り、あれこれ話をしてくれていたらいいなと思っています」。


「フィフティ・シェイズ」シリーズのジェイミー・ドーナンが新境地を開拓
「フィフティ・シェイズ」シリーズのジェイミー・ドーナンが新境地を開拓[c] Two Brothers Pictures & All3Media International

それにはジャックも「“男”はなぜ自分が砂漠に行き着いたのか、なぜ衝突されたのかなどを突き詰めていくなかで自分自身について深く考えていく。これは劇中のすべての登場人物にも共通しています」と同調。「思わぬ展開がたくさんあり、奇妙でおもしろく、驚きがある。ハリーが言うように、皆さんがTwitterで互いに意見をぶつけ合い、議論してくれるとうれしいです。でも私たちはなにかを変えようなんて思っていません。視聴者の皆さんが楽しんでくれればいい。それに尽きます」と語った。

イギリスで初回放送時には約1,200万人が視聴する大反響を巻き起こし、アメリカの批評集積サイト「Rotten Tomatoes」では批評家の97%から好意的評価を獲得。世界4大映像祭のひとつモンテカルロ・テレビジョン・フィルムフェスティバルではテレビドラマ部門の最優秀賞や観客賞など3冠に輝き、すでにシーズン2の制作も決定。今後ますます注目を集めそうなウィリアムズ兄弟の才気を、本作を通して存分に感じてみてはいかがだろうか。

文/久保田 和馬

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