話題のマルチバースを取り入れたシニカルな物語がおもしろい!大人向け奇天烈アニメ「リック・アンド・モーティ」の名エピソードたち
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(21)、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(22)といった最近のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)作品の鍵を握っている“マルチバース”。多元宇宙やパラレルワールドとも呼ばれ、自分が生活を送っている宇宙以外にも、無数の宇宙が並行して存在するという考え方だ。そんな話題のマルチバースをMCU以前から物語に組み込み、ぶっ飛んだ世界観を築き上げてきたアニメーション・シリーズ「リック・アンド・モーティ」をご存知だろうか?
続々とMCUへ才能が流出中!大人向けアニメ「リック・アンド・モーティ」とは?
アメリカのアニメ専門チャンネル「カートゥーン ネットワーク」における大人向けの番組を編成するために作られた放送時間帯「アダルトスイム」にて、2013年にシーズン1が放送され、現在までに5シーズンが制作されている「リック・アンド・モーティ」。主人公は宇宙一の頭脳を持つ天才科学者だが、アルコール依存症で自己中の老人リック・サンチェスと、彼の孫で冴えないナヨナヨ系ティーンエイジャーのモーティ。この凸凹コンビが宇宙や次元を超えた空間を舞台に、危険な冒険に繰りだしていくのが物語の本筋だ。そのうえで、エロ、グロ、バイオレンス、シニカルな笑いがごちゃ混ぜになった、倫理観から逸脱した展開が次々に繰り広げられていくのが特徴で、ブラックかつ哲学的でもあるSFアニメという点から、さながらイカれた「ドラえもん」といったところだろう。
宇宙空間や人間の体内までありとあらゆる世界が登場し、時には『インセプション』(10)や『トータル・リコール』(90)といった名作映画をパロディにしながら、ぶっ飛んだ物語が紡がれていく本作。マルチバースもシーズン1から物語に取り入れており、そのアイデアを生かしたユニークな展開の数々は観る者のド肝を何度も抜いてきた。
複雑なマルチバースをわかりやすく、なおかつおもしろおかしく噛み砕き、痛烈なメッセージも盛り込んだ物語として描いてきた本作のクリエイター陣には、近年のMCU作品にも関わっている者も多い。例えば、脚本家のマイケル・ウォルドロンはドラマシリーズ「ロキ」で脚本と製作総指揮、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』でも脚本を務めるなど、マルチバースど真ん中の作品を担当している。
また、原案のダン・ハーモンもアンクレジットながら『ドクター・ストレンジ』(16)にかかわり、エミー賞受賞の名作エピソード「ピクルス・リックの冒険」の脚本を務めたジェシカ・ガオも、8月18日(木)より配信される「シー・ハルク:ザ・アトーニー」のクリエイターに抜擢されている。同じくシリーズの脚本家でプロデューサーのジェフ・ラブネスも『アントマン・アンド・ザ・ワスプ:クワントゥマニア』(公開日未定)の脚本を任されるなど、現在のエンタメ界を引っ張る才能を次々と生んでいるという点でも、チェックしておきたい番組なのだ。