伊坂幸太郎を愛する書店員&映画のプロが『ブレット・トレイン』を絶賛! 「見事な伏線回収」「リスペクトを感じた」

コラム

伊坂幸太郎を愛する書店員&映画のプロが『ブレット・トレイン』を絶賛! 「見事な伏線回収」「リスペクトを感じた」

2000年のデビュー以来、ミステリーを中心に数々のヒット作を世に送り出している作家、伊坂幸太郎。彼の小説はこれまで幾度となく映画化され、時には韓国映画になったことも。そしてついにハリウッドに進出したのが、9月1日(木)から公開される『ブレット・トレイン』だ。

累計発行部数300万部超の殺し屋小説シリーズ2作目「マリアビートル」を原作とする本作のハリウッド化において気になるのは、伊坂幸太郎らしさはしっかりと感じられるのか?ということ。伊坂作品といえば、

「伏線力、だと思います」(TSUTAYA 調整部企画調整ユニット/須崎景介さん)
「日常と非日常の絶妙な混合が、カオスなようでしっかりしたストーリーとして回収されていくところ」 (八重洲ブックセンター 営業部マネージャー/内田俊明さん)
「人物それぞれの視点が描かれ、物語が進むにつれて交差し、絡んでいき、伏線と共に回収されていくという構成。ハードボイルドでもアクション寄りのものでも、いいタイミングでコミカルなシーンが差し込まれる“間”があるのも絶妙でおもしろい」(ブックコンパス 営業部ライフスタイルユニットリーダー/西田哲也さん)
「話のプロットがどんどん膨らんでコントロールがきかないくらい広がるが、すべてが交差して絡み合い繋がるすごさ!」(紀伊國屋書店 新宿本店第一課/野村陶子さん)


と伊坂ファンの書店員たちが語るように、張り巡らされた伏線が鮮やかに回収される、複雑だが快感に満ちた物語が老若男女から幅広く支持されてきた。そんな伊坂作品をこよなく愛する書店員たちや、文芸作品にも造詣が深い映画評論家たちは『ブレット・トレイン』をどう観たのか?

伊坂幸太郎「マリアビートル」原作、『ブレット・トレイン』のおもしろさとは?
伊坂幸太郎「マリアビートル」原作、『ブレット・トレイン』のおもしろさとは?

「最高に過激でクレイジーで、最初から最後までアドレナリン出まくりでした。 いま一番観るべき映画!ぜったいに映画館で観た方がいい!」(八重洲ブックセンター/内田さん)、「伏線、アクションが絡み合いながら、ノンストップで駆け抜ける“正統派娯楽映画”!」(TSUTAYA/須崎さん)など、興奮の感想が届いている作品の魅力を、彼らのコメントと共に探っていく。

伊坂幸太郎の原作の妙味を生かした見事な構成

レディバグは、訳もわからず殺し屋から命をねらわれることに…
レディバグは、訳もわからず殺し屋から命をねらわれることに…

東京発、京都行きの超高速鉄道“ゆかり”に乗り、ブリーフケースを盗み出すという仕事を請け負った世界一運のない殺し屋のレディバグ(ブラッド・ピット)。早速ケースを見つけだした彼は、品川駅で降りようとした矢先、乗り込んできたメキシコの殺し屋ウルフ(バッド・バニー)に襲われてしまう。事情を飲み込めないままなんとか危機を脱したレディバグだったが、なにやら車内には多くの殺し屋が集められているようで…。

「コメディがおもしろく、アクションが爽快で、どこに向かうかわからない群像劇にハラハラし、お気に入りの殺し屋が死んだシーンでは泣きそうになり、見事な伏線回収に感動する。ずっと笑顔で鑑賞できる元気が出る映画でした。つまらない要素なんてひとつもない、THE娯楽映画でした!」(TSUTAYA/須崎さん)

このコメントからもわかるように、本作の魅力の一つが、様々なドラマを盛り込みながら伏線を次々と回収していく巧みなストーリーテリング。なにも知らされていないまま事態に巻き込まれてしまった主人公レディバグと同様に、観客は訳のわからない状態から、徐々に殺し屋たちが同じ列車に乗り合わせている意味を知ることになる。


超高速鉄道“ゆかり”を舞台に繰り広げられる殺し屋同士のバトルが描かれる
超高速鉄道“ゆかり”を舞台に繰り広げられる殺し屋同士のバトルが描かれる

「海外で映画化された日本のエンタメ小説で、ここまでストーリーが原作に忠実なのは珍しいと思います。そこにリスペクトを感じました」という八重洲ブックセンターの内田さんの言葉にあるように、設定やラストにいくつかのアレンジはあれど、物語の筋は原作にしっかりとなぞられている。ハリウッドアクション大作でありながら、伊坂ミステリー的なおもしろさは決して損なわれていないのだ。


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