料理家・栗原心平が語る「小さな幸せに気付かないともったいない」という生き方。“食”と“幸せ”を描く『川っぺりムコリッタ』 - 2ページ目|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
料理家・栗原心平が語る「小さな幸せに気付かないともったいない」という生き方。“食”と“幸せ”を描く『川っぺりムコリッタ』

インタビュー

料理家・栗原心平が語る「小さな幸せに気付かないともったいない」という生き方。“食”と“幸せ”を描く『川っぺりムコリッタ』

「食事を一緒にすることで、関係がより深まることはたくさんある」

本作では、島田が山田にさりげなく言う「ご飯ってね、ひとりで食べるより誰かと食べたほうが美味しいのよ」という言葉がとても印象的だ。「話し相手がいたほうがごはんは絶対に美味しい」と栗原も語るが、一緒にご飯を食べてコミュニケーションが深まり、よりつながりを感じた経験というのは誰しもがあるのではないだろうか。家にいる時は「料理は必ず自分が作っている」という栗原だが、現在小学5年生の息子は塾やサッカーで帰りが遅いことも多く、「一緒に食べる時間を決めておかないと、一緒のごはんがほとんどないんです。でも食事って『今日どんなことがあったの?』というコミュニケーションの場にもなりますし、なにか悩んでいることをポロッと吐露したりもする。ここで聞いてあげないと、子どもにとってよくないなと思っています」と、家族一緒の食事をとても大切にしている。

【写真を見る】すき焼きに、白いご飯、黒いイカの塩辛…料理家・栗原心平も絶賛する食事シーンが続々登場
【写真を見る】すき焼きに、白いご飯、黒いイカの塩辛…料理家・栗原心平も絶賛する食事シーンが続々登場[c]2021「川っぺりムコリッタ」製作委員会


本作で山田と島田が大切な話をするのも、食事のシーン。栗原も、「一緒にごはんを食べていると普段は言えないことがポロッと出たり、より関係が深まったりすることってたくさんありますよね。だとすると、なにか問題があった時に、解決の糸口になるコミュニケーションの場にもなるし、そこで問題が発見しやすいので諭す場になっていたりもします」と話す。会社経営者としての栗原、会社の業務的な話は食事をしながらすることも多いといい、「例えば人事なら、その人の可能性などは一切語らずに、積み上げた実績だけで、本人ができるかできないかという話になりがちなんですけど、1~2杯ビールが入っているくらいだと、『こんなこともあったよね』っていう話が出る。コミュニケーションも柔らかくなりますし、できるだけ僕はそういうところで話すようにしています」と、公私ともに食事の場をうまく活用しているそうだ。

「島田の本質的な部分は、ムロさんのなかにも存在していると思う」

本作では、山田と島田の交流が大きな軸にもなっている。「なんとなく会話しているけど、会話しなくてもいいような時間って実は結構難しい。よほど気を許しているか、家族くらいしかないんですよね」としみじみ。ずかずかと山田の部屋に上がりこみ、挙句の果てには冷蔵庫の缶ビールまで勝手に飲み始めるも、憎めない島田という役をムロは今回絶妙なさじ加減で演じている。どこか影のある繊細な役柄でもあるが、以前、CMで共演したことのある栗原は、「本質的にはそういった島田の部分も、ムロさんのなかには存在しているんじゃないかなと感じました。基本シャイな方だと思うのですが、そのシャイな一面の裏返しがあのような感じになるのかなと」。CMの撮影中も目をじっくり見て話すような感じではなく、瞬間的にシャイだなと感じる部分があったそう。

舞台、ドラマ、映画など様々なフィールドで活躍するムロツヨシ
舞台、ドラマ、映画など様々なフィールドで活躍するムロツヨシ[c]2021「川っぺりムコリッタ」製作委員会

「食べることは、生きることーー」。本作でもその真髄が根底に流れているように感じるが、料理を作るうえで栗原が普段大切にしていることはあるのだろうか。「食べる人が、いまどういう状態にあるのかを見極めること。例えば子どもがサッカーで夜の8時くらいに帰ってくる時には、真夏に2時間フルで走った後になにを食べたいかと逆算して考えたり。日中食べていないものと、本人の状況に合わせて、体が欲しているものをできるだけ作りたいなと思っています」と、思いやりに満ちた心がけを語った。

■栗原心平
料理家、一児の父。会社の経営に携わる一方、料理番組「男子ごはん」(テレビ東京系列)のレギュラー出演や、YouTubeチャンネル「栗原心平ごちそうさまチャンネル」の運営など幅広く活躍中。
仕事で訪れる全国各地のおいしい料理やお酒をヒントに、ごはんのおかずやおつまみにもなるレシピを提案している。著書に、「栗原心平のこべんとう」(山と溪谷社)、「酒と料理と人情と。青森編」(主婦と生活社)、「栗原家のごはん 祖母から母に、母から僕に、そして僕から息子へ。」(大和書房)など。


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