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これは“「スター・ウォーズ」meets「ジェイソン・ボーン」”ドラマだ!3人の編集長による「キャシアン・アンドー」イッキ見座談会

インタビュー

これは“「スター・ウォーズ」meets「ジェイソン・ボーン」”ドラマだ!3人の編集長による「キャシアン・アンドー」イッキ見座談会

「ファンもそうじゃない人も、同じ土俵で観られる」(下田)

佐藤「『キャシアン・アンドー』に話を移すと、3話まで観たけれど、ほかの『スター・ウォーズ』シリーズに関連づけている部分は、いまのところあまりないよね。そういう意味ではシリーズを観ていなくても楽しめる。キャシアン自体、ほかのキャラクターに比べて知名度が低いじゃないですか。例えば、オビ=ワン・ケノービは戦国武将で例えるなら明智光秀くらいの知名度があるけれど、キャシアンはそこまでではない。一般的には『ローグ・ワン』に登場する諜報員と言われて、『あ、あの人か』と思い出す程度じゃないかな。そこが、むしろこのドラマの強みですよね。まったくの新作として観ることができる」

下田「そこがよかったですね。『スター・ウォーズ』サーガとの結びつきを頑張って探す必要もないし、スパイものとして楽しい、と思わせてくれる。そういう意味では気楽に楽しめました」

佐藤「『スター・ウォーズ』のメインストリームではなく、外れの外れの世界の話だから、作り手としても自由に作れるし、伸びしろはまだまだありそうですね。監督の手腕に任せるので、どんどん話広げちゃっていいよ、というようなスタジオサイドの寛容さを感じます」

ビックスに呼び出され、第2話で登場したルーセン。彼は何者なのか?(「キャシアン・アンドー」)
ビックスに呼び出され、第2話で登場したルーセン。彼は何者なのか?(「キャシアン・アンドー」)[c]2022 Lucasfilm Ltd.

下田「『ローグ・ワン』もそうでしたが、『キャシアン・アンドー』も“こうあるべき”がない作品ですよね。ファンもそうじゃない人も、同じ土俵で観られるんじゃないでしょうか?実際に観る前は、『ローグ・ワン』だけ観ておけばOKだと思ったら、それさえも要らなかった(笑)」

西川「ファンにしても、『これが「スター・ウォーズ」だ!』みたいなものよりも、その世界観を使った新しいものを観たいと思っているんじゃないかな。そういう点では、3話の時点では成功していますよね」

「強い敵が出てきて、それを倒す話ではない。ただ、あの主任はどんどんめんどくさいヤツになっていく予感」(西川)

下田「私は1話からどんどんのめり込んでいきました。特に、最初の雨のシーンからして、『ブレードランナー』のようなサイバーパンク感があり、巧い導入部だと思いました」

佐藤「世界観をきっちり見せていますよね。舞台となる工業都市にしても産業革命時代のイギリスの労働者たちが住んでいるような、搾取される苦境や犯罪の横行などの猥雑な雰囲気がある」

下田「SFではあるけれど、リアルですよね。冒頭でキャシアンに絡んだ2人のうち、1人は倒れた際の頭の打ちどころが悪くて死んじゃうけれど、これも現実的ですよね。こういうアクシデントは実際に起こり得る。その後もバンバン人が死んでいくような展開にはなりません。そういうところにリアリズムを感じました。だから、『思いがけず人を殺してしまった男の逃亡を描いたノワール・サスペンスです』と言われても納得します」

トラブルを起こし、“ビー”ことドロイドのB2EMOに口裏を合わせるように指示するキャシアン(「キャシアン・アンドー」)
トラブルを起こし、“ビー”ことドロイドのB2EMOに口裏を合わせるように指示するキャシアン(「キャシアン・アンドー」)[c]2022 Lucasfilm Ltd.

西川「そう言われると、トニー・ギルロイらしさを感じますね。『ジェイソン・ボーン』シリーズのようなハードボイルドさもある。キャラクターで気になったのは、“ビー”と呼ばれるドロイド。もしかしたら、BB-8のプロトタイプになるのかなあ?」

佐藤「B2EMOというのが正式名称らしいけれど、B系列のドロイドはサポートタイプ、などの設定があるのかもしれない。主任 (カイル・ソラー)と呼ばれていた企業の隊長もいいキャラクターだったよね」

下田「キャシアンを追う企業の保安本部は、これまでの『スター・ウォーズ』のような恐怖政治の執行者というよりは、フツーの警察組織っぽかったですよね。LA市警と、あまり変わらないような(笑)。とにかく、いまのところメチャクチャこわいヴィランは出てこないですよね」

西川「そういう話ではありませんよ、という前提を、最初の3話で提示しているのかもしれませんね。強い敵が出てきて、それを倒す話ではない。ただ、あの主任はどんどんめんどくさいヤツになっていく予感はします(笑)」


やる気はあるが空回りして涙目になる保安本部の主任(「キャシアン・アンドー」)
やる気はあるが空回りして涙目になる保安本部の主任(「キャシアン・アンドー」)[c]2022 Lucasfilm Ltd.

下田「主任は、制服をお直ししていることで上司から咎められますよね。あのシーン、なんだかわからないけど、かわいいなあと思いましたよ(笑)。悪びれることなく、自分からカミングアウトしちゃうところが」

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