キャラクターの感情が伝わる名曲ばかり!福山雅治と柴咲コウによるユニット、KOH+の「ガリレオ」主題歌を振り返る
複雑な感情が真に迫る…登場人物に捧げられた「ヒトツボシ」
そして『沈黙のパレード』のエンドクレジットで流れるのが「ヒトツボシ」。柴咲がシリーズに本格復帰した今作は、劇場版前2作に続いて福田靖が脚本、西谷弘が監督を務めており、登場人物の繊細な人間模様が絡み合った群像劇となっている。
3年前に行方不明になっていた女子高生、並木佐織(川床明日香)が遺体となって発見された事件の捜査協力を求め、湯川のもとを訪れた内海。容疑者は、湯川の親友でもある先輩刑事の草薙(北村一輝)がかつて担当した少女殺害事件で無罪となった蓮沼寛一だった。
今回も黙秘を貫いた蓮沼は証拠不十分で釈放され、佐織の住んでいた町へと舞い戻るが、夏祭りのパレードの日に不可解な死を遂げる。佐織の家族を筆頭に、彼女をかわいがっていた商店街の人たち全員が容疑者として浮かび上がることになる。
ゆったりとしたテンポの「ヒトツボシ」は福山が「亡くなった佐織さんの歌なんです」とイベントで語った鎮魂歌。同時に佐織の魂を鎮めることによって、残された人々が人生に迷わないでほしいという思いも込められており、タイトルは昔は海を渡る時に星を見て地図代わりにしていた習慣にちなみ、「ヒトツボシ」(北極星の意)と付けられている。
“いつか いつの日にか 君がわたしのこと 泣かずに思い出せるように 君の物語の邪魔しないように”、“君が 誰か愛し 愛されますように 本当は少し寂しいけれど…”など、亡くなった佐織から残された人たちへの思いが綴られた歌詞は「一見すると矛盾ある感情を一つのサビのなかに共存させました」と福山が語るように、複雑だが真に迫る感情が詰め込まれている。そんな機微をしっかりと汲み取った柴咲の優しい歌声は、観る者の心に突き刺さることだろう。
繊細な人間模様を描いた『沈黙のパレード』とリンクした作品を締めくくるにふさわしいこの1曲。エンドクレジットに入っても席を立たずに、その余韻をしっかりと感じてほしい。
文/サンクレイオ翼