「初代マクロス」山賀博之×「エヴァ」庵野秀明×『戦メリ』坂本龍一らによって生みだされた『王立宇宙軍』の“すごさ”とは

コラム

「初代マクロス」山賀博之×「エヴァ」庵野秀明×『戦メリ』坂本龍一らによって生みだされた『王立宇宙軍』の“すごさ”とは

2022年秋。1987年に劇場公開された作品が4Kリマスターされ、劇場公開+商品発売となった。タイトルは『王立宇宙軍 オネアミスの翼』。本作はのちに「トップをねらえ!」「ふしぎの海のナディア」「新世紀エヴァンゲリオン」などを世に送りだすガイナックスが設立されるきっかけとなった作品であり、同社が初めて手掛けた長編アニメーション映画になる。

神の教えを説く少女リイクニ。年下のマナと2人で暮らしている
神の教えを説く少女リイクニ。年下のマナと2人で暮らしている[c] BANDAI VISUAL/GAINAX

監督、原案、脚本は山賀博之。キャラクターデザイン、作画監督には貞本義行。作画監督、スペシャルエフェクトアーティストに庵野秀明。助監督に赤井孝美、樋口真嗣、増尾昭一。原画には前田真宏、摩砂雪、井上俊之などなど。いまや名の知れたクリエイターたちが、若手と呼ばれていた時代に参加した作品としても知られている。

4Kリマスター版として再発売されるタイトルはまだ多いとは言えないなか、劇場公開から35年経った今作が、映像商品だけでなく劇場公開も行われるのはなぜか。そこから見える魅力とはなにかを考えたい。

ガイナックスの面々が、バンダイと共に挑んだ長編アニメ

キャラクターデザインを手掛けたのは「エヴァンゲリオン」シリーズの貞本義行
キャラクターデザインを手掛けたのは「エヴァンゲリオン」シリーズの貞本義行[c] BANDAI VISUAL/GAINAX

公開当時にガイナックスのメンバーはまだそこまで有名ではなく、世界初のOVA作品「ダロス」を世に送りだしたバンダイ(現在はバンダイナムコフィルムワークスが映像事業を継承)が挑む初の長編映画であった。8億円規模の製作費が用意され、公開の随分前から雑誌で紹介記事が組まれるなど、かなり力が入った作品だということを感じたのは覚えている。また、OVA市場の活気もあり、それまでとは違う新しい作品への渇望というものが我々アニメファン側にあったのは間違いなく、雑誌に記事が掲載されるたびに期待が高まっていた。

劇場公開後も、数々の映像商品が発売されてきた(VHS、LD、DVD、Blu-ray)。VHSやLDで発売された作品がBlu-rayに、いやDVDにすらなっていないケースも少なくないのに、なぜ『王立宇宙軍 オネアミスの翼』は時代ごとに最新のメディアとして発売されてきたのか。それは根強いファンの存在というだけでなく、その時々の最先端と言えるメディアで楽しみたい作品だからだ。ではなぜ、最先端のメディアで観たいのか。それは今作の大きな魅力につながっていく。


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