「ハコヅメ」原作者は、戸田恵梨香&永野芽郁共演『母性』をどう見たのか?「理性的な母親でいたいと強く思いました」
「憎み切れない人としての美しさを、高畑さんがきっちり出されていました」
ある事件を経て、ルミ子たちは夫の両親たちと生活をすることに。そこでは、高畑淳子演じる義母が実質的な家長であり、居候の立場である息子一家、特に義理の娘ルミ子につらく当たり続ける。「高畑さんは観る人が生理的に嫌がるような役を見事に演じられていたので、その反動もあって、帰ったら自分のお姑さんを抱きしめ、感謝の気持ちを伝えたいと思いながら観ていました(笑)。普通の感覚でいけば、ルミ子が清佳を連れて逃げればいいのに、と思ってしまう環境ですよね。でも、ルミ子はひたすら耐え続ける。そこに説得力を持たせていたのが戸田さんの存在で、箱入り娘で誰かの支えになるという生き方以外の選択肢が思いつかないルミ子の危うさが醸されていたと思います。ただ、最終的に高畑さん演じる義母には、人間として、人生としての1つの美しさの形を見せていただいた気がしました。そうか、こういう女性の美しさ、こういう母性の美しさもあるのか、と」。
「子どもがなにかを選択する時、私が選択肢の邪魔になって狭めてほしくない」
最後に、泰自身が子どもとの関係で心掛けていることについて聞いてみると、「子育てをしていると、子どもに尽くす方向に気持ちが行きがちですが、そうではなく、お母さんはいますごく楽しく生きているよ、と子どもにアピールするようにしています」との回答が。
「自分がなにかを我慢しているところを、隠しながら子育てしているというか。将来、子どもがなにかを選択する時、私が選択肢の邪魔になって狭めてほしくないので、つかず離れずというか、理性的な母親でいたいと常々思っています。原作の湊かなえ先生が『子どもと一緒に互いが心地いいところを探していく』とインタビューでおっしゃっていたと伺ったのですが、そういった形が憧れであり、いつも心掛けていることです」。
身近なようで、実のところ明確な説明ができない“母性”。そんな生きとし生ける者が直面するテーマを、戸田や永野ら、実力派女優たちによる気迫のこもった熱演で描く『母性』をスクリーンで体感してほしい。
取材・文/折田千鶴子
某県警に10年間勤務後、2017年に漫画家に転身。警察官時代の経験を活かし執筆した短編「交番女子」が掲載された「モーニング」誌上で、同年11月より「ハコヅメ ~交番女子の逆襲~」の週刊連載をスタート。2021年には戸田恵梨香、永野芽郁主演で「ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜」としてドラマ化を果たし、話題に。単行本最新22巻が発売中。
・講談社「ハコヅメ ~交番女子の逆襲~」:https://morning.kodansha.co.jp/c/hakozume/
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