ツァイ・ミンリャン監督、閉館間際の映画館を舞台にした『楽日』は「映画人生のなかでも、もっとも重要な作品と言える」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
ツァイ・ミンリャン監督、閉館間際の映画館を舞台にした『楽日』は「映画人生のなかでも、もっとも重要な作品と言える」

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ツァイ・ミンリャン監督、閉館間際の映画館を舞台にした『楽日』は「映画人生のなかでも、もっとも重要な作品と言える」

第35回東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門で「ツァイ・ミンリャン監督デビュー30周年記念特集」が開催。10月27日にはTOHOシネマズシャンテで2003年製作の『楽日』の上映が行われ、舞台挨拶にツァイ・ミンリャン監督、俳優のリー・カンション三田村恭伸が登壇した。

「ツァイ・ミンリャン監督デビュー30周年記念特集」で『楽日』の上映が行われた
「ツァイ・ミンリャン監督デビュー30周年記念特集」で『楽日』の上映が行われた

「ツァイ・ミンリャン監督デビュー30周年記念特集」は、1993年の東京国際映画祭ヤングシネマコンペティションでブロンズ賞を受賞した『青春神話』での監督デビューから30年を迎えるツァイ・ミンリャン監督の特集上映。『楽日』は、閉館間際の映画館を舞台にした人間ドラマで、古い映画館の閉館日に集う人たちの様子を哀愁漂う映像で描きだしていく。ヴェネチア映画祭で、国際映画批評家連盟賞を受賞した。

【写真を見る】大きな拍手に迎えられたツァイ・ミンリャン監督
【写真を見る】大きな拍手に迎えられたツァイ・ミンリャン監督

万雷の拍手に迎えられて登場したミンリャン監督は、「これは2003年に撮った映画です。もう19年も経ちますね」と本作を紹介。「30歳くらいのころに、私はよく夢を見ました。それは古い映画館の夢でした」と切りだし、「幼いころ、私はマレーシアのクチンにいました。夢に出てくる映画館は、そのクチンにある映画館でした。でもこの映画館は、私が大学に入って、20歳のころに壊されてしまったんです」とすでに存在しない映画館だと話す。

ずっとその映画館のことを忘れたままだったというミンリャン監督だが、「なぜだかわからないけれど、急に夢に出てくるようになった。まるで、この映画館が『自分を映画にしてほしい』と言っているように感じました。そういう意味では、私の映画人生のなかでも、もっとも重要な映画と言っていいと思います」と特別な想いが込められていると明かしていた。

俳優のリー・カンション
俳優のリー・カンション

劇中で映写技師を演じているカンションは、「私の出番は、この映画のなかでそんなに多くないんです」とにっこり。「なぜかというと、ちょうど自分の監督作品の準備をしている時だったからです。目を凝らして観ていただかないと、見逃すかもしれません」とお茶目にアピールし、「今回は、ツァイ・ミンリャン監督の30周年記念特集上映。40周年の記念特集の際には、またやって来たいと思います」と希望を語り、大きな拍手を浴びていた。


俳優の三田村恭伸
俳優の三田村恭伸

三田村は「約20年が経ち、この映画がその時だけで息絶えてしまうものではなく、いろいろな人に支えられて、ずっと生き続けてきたことに感謝します。とてもうれしいです」としみじみ。「この映画が、それぞれの記憶のなかにある風景と重なり合って、特別なものになれたとしたら、すごくうれしいなと思います」と熱を込めていた。

取材・文/成田おり枝

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