43年目の『戦国自衛隊』撮影秘話!江藤潤が明かす、千葉真一や渡瀬恒彦との“合宿生活”
「角川映画UHDプロジェクト」第1弾として『戦国自衛隊』4Kデジタル修復 Ultra HD Blu-ray【HDR版】が10月28日に発売となったことを記念し、10月31日に立川シネマシティで、『戦国自衛隊』4K世界初上映イベントが開催。県信彦一等陸士役を演じた江藤潤とオーディオビジュアルライターの酒井俊之による舞台挨拶が行われた。
「角川映画UHDプロジェクト」は、2026年に50周年を迎える角川映画の名作の数々を、映像、音声、特典、すべてのクオリティを追求した“究極にして最終形態”の商品仕様で4K UHD化するというもの。実際に劇場で4K版を観た感想を聞かれた江藤は「公開当時は、劇場で何度も観ましたが、久しぶりに大きいスクリーンで観ると、やはり迫力があって、音もいいですし、映像もクリアになっていて、びっくりしました」と驚く。
酒井も「私はスタジオで初号試写を見ましたが、映画館で観る『戦国自衛隊』の良さは独特のものがあるなと思いました。お客さんの背中越しにスクリーンがあり、初号試写とはまた違う感動がありました」と感想を語った。
自衛隊の隊員を演じるにあたり、アクションの練習や訓練について質問された江藤は「クランクイン前に、砧の東宝の野原で、みんなが自衛隊の衣装を着て、銃を持って訓練しました。教官が自衛隊上がりの年配の方で、ほふく前進とかいろんなことを、かなり本気になって教えてくれて、結局3日間くらい訓練したら、ムッシュ(かまやつ)とかみんながヘトヘトになりました。でも、いざクランクインしたら、一切習ったことをやらなかったんです。ただ“自衛隊はこういうものだ”ということを体感しただけで、スクリーンには反映されなかったですね(笑)」と明かして笑いを誘った。
また、県信彦役については「県だけ冷静沈着で、周りより色目が違うということで、なるべく興奮しないよう、台詞もゆっくりしゃべるように演じました」と振り返った。
撮影時の思い出については「自衛隊が非全面協力だったので、まず戦車が制作されました。最初の撮影は、タイムスリップした海岸のシーンで、戦車がカメラの前で曲がりながら来るというのが監督の要望でしたが、戦車が完成したばかりでギアがうまく動かなくて、曲がろうとするとガクンとなって、動きがスムーズではないんです。そこで、撮影技師がレールを敷いて戦車に回り込んで撮影することで、戦車が回ったように見せたりしました」と裏話を披露。
「ヘリコプターも借りてきて、泥絵の具で塗ったりして、どれも手作りだったのが良かったです。今日改めて観て、“手作りっていいもんだな”と感じました」と感慨深げに語った。
さらに、同世代の共演者が多く、3か月にわたった撮影は、部活のようで楽しかったという江藤。主人公の伊庭義明三等陸尉役を演じ、アクション監督も務めた千葉真一については「千葉さんとは、この映画で初めて出会ったと思いますが、僕も精神が男の子で、千葉さんも主役を多く演じた俳優さんなのに、やっぱり少年なんです。相方の夏八木(勲)さんも大人の少年で、千葉さんと夏八木さんの海辺のシーンを今日久しぶりに観て『2人のいい友情関係が出ているな』『あの時そうだったな』と思い出しました」と懐かしんだ。
一方、反乱を起こす矢野隼人陸士長役を演じた渡瀬恒彦とのエピソードを尋ねられると「恒さんはやんちゃで、現場でも寡黙で怖そうな人なのに、やっぱり恒さんも男の子なんです。だけど、東映の作品でで、千葉さんや渡瀬さんもそれぞれ主役を演じた映画がたくさんあったので、当時の役割を考えていたと思いますが、恒さんはわりと千葉さんとは距離を置き、撮影は千葉さんを筆頭に合宿生活でしたが、恒さんだけは宿をほかの所に取っていましたね」と明かした。
江藤自身は渡瀬とプライベートでも親交が深かったそうで「撮影が終わると、千葉さんやみんなとの食事会が開かれて、僕はそこにいたかったけど、恒さんが1人、別の宿にいるので、恒さんのお付きの人が来て『渡瀬が呼んでおります』と言うんですよ。僕は和気あいあいとしている千葉さんたちの食事会にいたいけど、恒さんに言われたらしょうがないなと思って、何回も恒さんの所に行った覚えがあります」と振り返った。
イベントでは、『戦国自衛隊』UHD の発売日でもある10月28日に71歳の誕生日を迎えた江藤を、サプライズで祝福する一幕もあり、花束を受け取った江藤は、観客から大きな拍手を浴びていた。
立川シネマシティでは、11月26日(土)~12月2日(金)、『戦国自衛隊』の4K極音上映が決定。角川映画UHDプロジェクトでは、『戦国自衛隊』を皮切りに、松田優作主演の『蘇える金狼』(79)と『野獣死すべし』(80)が12月23日(金)発売、渡瀬恒彦主演の『化石の荒野』(82)が2023年1月27日(金)に発売されるなど、今後も4K UHDの発売を予定している。
文/山崎伸子