「なにもできない『バットマン』のブルース・ウェインみたい…」漫画家アーノルズはせがわもハマった、ヘタレ紳士の「80日間世界一周」の旅!
「視聴しながら歴史の勉強ができるというのも魅力の一つ」
このほか第7話のサンフランシスコで登場する実在した黒人の保安官ベース・リーブスが気になったとのことで、「パスパルトゥーは第1話でフランスで生き別れた弟と再会を果たして、黒人としての苦難の過去を語っていましたが、アメリカでは保安官を通して黒人の生きづらさを知る。その土地土地での違いなどを学ぶことができ、興味深かったです」という。
今回のドラマ化の大きな魅力の一つは、19世紀の歴史的な出来事と巧みにリンクさせている点だ。例えば、アビゲイルのモデルは女性ジャーナリストの先駆けで、実際に世界一周を成し遂げたアメリカ人のネリー・ブライ(1864-1922)だ。彼女はフランスのアミアンに住んでいた原作者ジュール・ヴェルヌと対面を果たしている。第3話では幾多もの恋愛遍歴を重ね、中東メズラブ族の首長に嫁いだ“スキャンダラスな英国貴族”、ジェーン・ディグビー(1807-1881)が登場。そして、はせがわも注目していた第7話のベース・リーブス(1838-1910)はアメリカでの黒人初の連邦保安官で、「ローン・レンジャー」のモデルとなった人物と言われている。
「視聴しながら歴史の勉強ができるというのも魅力の一つですよね。フランスでは大統領が命をねらわれ、アメリカでは南北戦争が起こり、香港はイギリスが統治していて…。それらが同じ時代の出来事であることがわかります。世界の国々をひとつひとつ見るのではなくて、全体として見ることができる。歴史に詳しい人と一緒に観たらもっと楽しめると思います」。
「ハンス・ジマーの曲がかかると格が上がって、ドラマチックで自然と旅に誘われていく感覚に」
そして、製作費約66億円を投入し、南アフリカとルーマニアでのロケ撮影と最新VFXを駆使しながら、19世紀の世界と壮大な冒険を再現しているところも見どころの一つ。3人が旅する世界の国々を見事なセットで作り上げている。さらに旅を盛り上げるテーマ曲を映画音楽の巨匠、ハンス・ジマーが手掛けているのも大きなポイントだ。「映像も見応えがあって驚きました!それに、ハンス・ジマーって『ダークナイト』の音楽も手掛けている人ですよね。特にオープニングですが、映像がすばらしいうえに、ジマーの曲がかかると格が上がった感じがします。ドラマチックで自然と旅に誘われていく感覚です」とはせがわも絶賛している。
最後に、はせがわなりの本作の楽しみ方を語ってもらった。「第1話でフォッグが手にしている手紙に“臆病者”と書かれているのですが、その意味が全8話を通して観ることで、『そういうことだったんだ!』とわかるんです。ほかにも、いろんな伏線が張られていますが、きちんと最後に回収しています。もちろん、各話単体でもおもしろいですが、全体を通してこそのおもしろさもありましたね。また、フォッグの旅は苦難の連続で、パスパルトゥーやアビゲイルもつらい現実に直面します。三者三様それぞれの問題に向き合っていくなかでの成長があり、3人1組なところは『水戸黄門』みたいで、旅を通して絆が芽生えていくのもエモーショナルです。本当にこの3人でなかったらありえない旅だと思います。たしか、シーズン2も決まっているんですよね。今度はどこに行くのかな?南極とか北極に行くとおもしろそうですよね。シーズン1を観たら、絶対に次が楽しみになると思いますよ!」。
取材・文/前田かおり
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■アーノルズはせがわ
漫画家。日常の育児エピソードや、映画ドラマの感想の漫画をほぼ毎日Twitter上に発信している。著書に、「ヘアドロップ」(KADOKAWA/メディアファクトリー)など。
公式サイト:https://arnoldshasegawa.blog.jp/