稲垣吾郎がいま考える、自身のパブリックイメージとは?主演作『窓辺にて』で「自然と自分の本質が出てしまった」
「長年テレビで観て知っているはずの稲垣吾郎って、本当はどういう人なんだろう?」今泉力哉監督が稲垣吾郎と初のタッグを組み、オリジナル脚本を映画化した『窓辺にて』(11月4日公開)を観ていると、しばしのあいだそんな空想に浸りたくなる。ふらりと立ち寄った喫茶店の窓辺の席で、コップに入った水がつくる影を手のひらにかざしながら。あるいは、まだ知り合ったばかりの良く知らない誰かと、久しぶりにパフェを食べながら――。
インタビューをしてみると稲垣本人も、これまで自身が想像してきた‟稲垣吾郎のパブリックイメージ”と、「新しい地図」として再出発した自分に対する、世間からの“いまの稲垣吾郎”のイメージをすり合わせ、自画像をアップデートすることを楽しんでいるようにも見えた。
「演じているつもりでも、自然と自分の本質的な部分が出てしまっているようなところもあった」
「今泉さんが書かれた脚本で主人公がしゃべるセリフって、本当に僕が言いそうなことばかりなんですよ。たとえば『理解なんかされないほうがいいよ。期待に応えないといけないから』とかね。監督に見透かされているみたいで、ちょっと怖いくらいでした(笑)。もちろん、いつものようにセリフを覚えてお芝居してはいるんだけど、演じているつもりでも自然と自分の本質的な部分が出てしまっているようなところもあって。ドキュメンタリー映画みたいにナチュラルに感じられたからこそ、逆に真新しく映る部分もあるのかもしれません」
本作には、稲垣演じるフリーライターの市川茂巳が、ひょんなことからパチンコに興じるシーンや、取材で知り合った高校生作家、留亜(玉城ティナ)の彼氏(倉悠貴)が運転するバイクに二人乗りするシーン、さらにはポスタービジュアルにも採用されている、喫茶店でパフェを食べるシーンも登場する。
髪型の乱れを気にするイメージがある稲垣が、バイクに乗るため無造作に手渡されたヘルメットを被るのも意外性があって新鮮に映るし、演じた茂巳と同様、稲垣本人もパフェを好んで食べているわけではないはずだ。茂巳がビギナーズラックを引き当ててパチンコでフィーバーを出した後の反応も「実に稲垣吾郎っぽい」と感じるのだが、当の本人はどう感じているのだろうか。
「僕自身は一度もパチンコをやったことがないわけじゃないですけど(笑)、たしかに甘いモノはそんなに得意なほうじゃないですね。それこそ昔グループにいたころは『あまりしゃべらなさそう』とか、ちょっとクールでミステリアスに思われることのほうが多かった気がしますけど、自分から率先して変わり者を演じていたところもあったと思う(笑)。でも最近は前よりずっと自由になったし、ラジオ番組でゲストを招いてインタビューをする機会も多いから、フリーライターという役柄を演じることについても、それほど違和感は持たなかったですね。意外性のあるほうがおもしろいという面もきっとあると思うので」