『すずめの戸締まり』は“IMAX推し”!アクションと映像美を極めた、新海誠ワールドの到達点
原菜乃華&松村北斗が、キャラクターとシンクロ!熱演を細部まで堪能
本作では、声優陣の熱演も見逃せない。1700人を超えるオーディションから鈴芽役に選ばれたのは、ドラマ「真犯人フラグ」や「ナンバMG5」で注目を集めた原菜乃華。前進力のあるヒロインに命を吹き込み、観客を鈴芽の冒険へと誘う。鈴芽はよく走り、よく食べ、コロコロと表情を変える元気な女の子。息を切らしながら走る演技もお見事で、実は笑顔の裏側に寂しさを抱えている鈴芽の葛藤までを体現している。新海監督も「感情と声の距離が誰よりも近い」と原の演技を高く評価しており、難役を演じられる原石との出会いを喜んでいる。
一方、草太役を担ったのは、SixTONESの松村北斗。凛々しさを感じさせる声色、やさしく穏やかな語り口も心地よく、草太役にシンクロする。途中から“椅子”に姿を変えられてしまうという、意外な展開もある草太だが、新海監督からは「神と人間の融合体のようなイメージ」という演出があったのだとか。「僕としても聞いたことのない声色が出せたら。いつもより少し低い声を当てています」と奮闘した彼の演技を、新海監督は「北斗くんでなければ、草太はできない」と大絶賛。完成会見の場において、全身全霊をかけた松村が、新海監督と本作から明日を生きる力をもらったと語っていたのも印象深い。
新海監督のもとでかけがえのない経験を得ながら、初声優とは思えぬ名演を披露した2人。鈴芽が草太を少しからかうようにお茶目に声をかけたり、それに対して草太が戸惑ったりと、鈴芽&草太のコミカルなやり取りが実に楽しく、どんどん彼らを好きになっていくこと必至。こういった軽やかな会話もあれば、鈴芽が振り絞るように涙を流す場面、草太がキリリとした態度で災いを封じ込めるシーンなど、原と松村が実に繊細な感情表現に挑んでいる。これから声の仕事が増えることも大いに予想されるが、吐息から叫びまでクリアに再現するIMAX音響ならば、彼らの熱演ぶりをたっぷりと感じることができるはずだ。
そのほか草太の友人役の神木隆之介、鈴芽の母親役の花澤香菜といった新海組常連の演技は、さすがの一言。また鈴芽の叔母役の深津絵里、鈴芽の地元の漁協で働く青年役の染谷将太、ヒッチハイクをしていた鈴芽を拾うスナックのママを演じた伊藤沙莉など、新海作品に初参戦したメンバーも個性と才能豊かな面々ばかりで、鈴芽たちの物語に深みを与えている。