ジュリア・ロバーツ&ジョージ・クルーニーが語る、『チケット・トゥ・パラダイス』での5度目の共演「友だちと一緒に仕事をするのは楽しい」
「暑くて汗だくでヘトヘトだったけれど、ジョージがおもしろくて笑いすぎました」(ロバーツ)
本作の撮影は、昨年暮れにオーストラリアで行われた。新型コロナウイルス感染症対策で2週間の隔離期間を経て無事に入国したスタッフ・キャスト陣を待っていたのは、そのころちょうど蔓延を始めていたオミクロン株への対応だった。「オーストラリアの人々がこの3年経験したことに比べれば、僕たちが映画のためにやらなければならないことなど大したことではない。不便なことはあったけれど、僕たちはただ従うのみ。真剣に取り組んでいる現地の人々といられることをとても光栄に感じました」と、クルーニーは真剣な面持ちで語りながら、現地スタッフへの強い敬意を表明する。
そんなオーストラリアでの撮影は自然豊かなロケーションだったこともあり、“パラダイス”らしからぬ瞬間に何度も見舞われたそうだ。クルーニーは「とにかくなんでもデカかった」と苦笑いし、「カエルがいたから手を伸ばすと、現地のクルーからこう言われた。『触るな。殺されるぞ』」。するとロバーツも「そうそう(笑)。人を殺す貝もいました」とノリノリで話に加わる。「海に入れば世界最小のクラゲに殺されるとも言われたんだ。なんといっても“パラダイスへのチケット”だからね」とクルーニーが言うと、すかさずロバーツが「病院へのチケットだったかもね」と笑いを誘った。
映画本編を飛び出しても抜群のコンビネーションを見せるロバーツとクルーニーは、本作の製作総指揮にも名を連ねている。特にロバーツは、大変な時期を経験した世界中の人々に笑いと安らぎを届けたいという想いがあったという。「私の目的はいつも人を笑わせること。ジョージも私も、それを大きなモチベーションにしています。撮影現場でもなにかをするたびにセットの反対側のモニターのところから笑い声が聞こえてきて、とても大きな喜びを感じました」と和やかな雰囲気の撮影現場を回想。
また劇中でもひときわユニークな居酒屋でのダンスシーンについて、「大勢のキャストを巻き込んだ楽しいシーンで、事前に打ち合わせはしていたけれどその場で思いつくままに踊っていました。とにかく暑くて汗だくでヘトヘトだったけれど、ジョージがおもしろくて笑いすぎました」とロバーツが語れば、クルーニーはすかさず「僕はその研究を長年やってきたからね」とにんまり。
そしてロバーツは「このような環境で仕事ができるというのは本当に楽しいことでした。逃げ場のない島で、みんなで一緒に楽しい時間を過ごし、お互いのことを知り、とてもユニークなかたちであの空間を共有できたというのは、なかなか味わえないことです」と、不安に満ちた日常を吹き飛ばすような作品との出会いを充足感たっぷりに振り返っていた。
構成・文/久保田 和馬