総勢5000人の大脱獄劇…「道はひとつだ!」反乱への道筋が見えてきた「キャシアン・アンドー」第10話

コラム

総勢5000人の大脱獄劇…「道はひとつだ!」反乱への道筋が見えてきた「キャシアン・アンドー」第10話

ディズニープラスで独占配信中の「キャシアン・アンドー」。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)で活躍した情報将校、キャシアン・アンドー(ディエゴ・ルナ)を主人公に、彼のバックグラウンドと反乱軍の誕生の裏側を描いたファンの間でも話題沸騰中のドラマシリーズを、MOVIE WALKER PRESSでは、映画メディアの編集長やライターたちによるリレーレビュー連載で毎週追っていきます。第10話のレビューはライターの梅原加奈がお届けします。

※以降、ストーリーの核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。

「俺は奴らに服従するくらいなら、奴らと戦って死ぬほうを選ぶ」ついにキャシアンが立ち上がる!

主人公キャシアンも、副リーダー的な立ち位置で受刑者たちと脱獄を目指す
主人公キャシアンも、副リーダー的な立ち位置で受刑者たちと脱獄を目指す[c]2022 Lucasfilm Ltd.

第8話、9話と積み上げてきたナーキーナ・ファイブ編もついに第10話で完結を迎えた。当初から「キャシアンが脱獄をする」ことはわかりきっていたが、そのドラマを彼のヒロイズムのある個人のドラマとして描くのではなく、じわじわと導火線に火を点けるように静かに火種を巻いていき民衆を立ち上がらせた、キャシアンの地道さを克明に描いたことが印象的だった。

第9話のラストで、同じ班の一員だった年老いたウラフ(クリストファー・フェアバンク)が死ぬ。その時、かけつけた医務員から受刑者たちは釈放されたとしてもまた別の監獄にぶち込まれること、そして、それを知った2階の受刑者たちが騒ぎを起こすも全員焼き殺されていたことを知る。彼らが解放されることは永遠にないのだ。刑期を終えるまでただ苦痛に耐える道を選んでいた班の監督を務めるキノ・ロイ(アンディ・サーキス)も、キャシアンの言葉に耳を傾けるようになる。キャシアンはキノに「明日だ、明日逃げる」と告げる。最初は「ばかげている」と反対するキノだが「計画は立てた」と語るキャシアンの説得力に徐々に押されていく。キャシアンは「俺は奴らに服従するくらいなら、奴らと戦って死ぬほうを選ぶ」とキノの目を見てはっきりと告げた。いつもとは逆に「所定姿勢につけ」とキャシアンから声をかける。2人の関係が変わったことを示唆しているようだ。翌朝、キノは「これから進むべき道はひとつだ」と房の全員にその覚悟を伝える。この短いスピーチだけでも、やはりキノは皆を奮い立たせる強い言葉を持つリーダーだということがよくわかる。


脱獄へ向けての受刑者たちによるチームワークも見どころ
脱獄へ向けての受刑者たちによるチームワークも見どころ[c]2022 Lucasfilm Ltd.

第10話はナーキーナ・ファイブの物語をメインに展開するが、その合間にはそれぞれの現在地も描かれる。ISB(帝国保安局)では、暗殺したアント・クリーガー派の反乱分子のパイロットを事故死に見せかける隠蔽操作が進む。指揮をするのは、デドラ・ミーロ(デニース・ゴフ)だが部下のロニ・ヤング(ロバート・エムズ)の的確な助言が今回も上官に認められる。惑星フェリックスではマーヴァ(フィオナ・ショウ)の自宅を監視するシンタ(ヴァラダ・セィスー)の姿も描かれる。登場はしないものの「食欲がなくなるから薬は飲まない」と言う頑固な母、マーヴァの体調も気になるところだ。モン・モスマ(ジェネヴィーヴ・オーライリー)は、前回「会いたくない」と拒んでいた故郷シャンドリラの成金、ダヴォ・スカルダン(リチャード・ディレイン)を自宅に招く。ダヴォは融資に手数料はいらない、その代わりに彼女の元をまた訪れさせてほしいと交渉を持ちかける。ダヴォは、シャンドリラの伝統的な政略結婚を自身の息子と、モスマの娘にさせたいと思っているようだ。反乱のための大事な軍資金は調達したい。しかし、そのために娘を差し出すようなことはできない。家族か、反乱か。第9話でのヴェル(フェイ・マーセイ)の言葉「反乱が最優先」がよぎる。

 暗躍していた保安局員デドラ・ミーロの部下として、従順に働くロニ・ヤングの正体とは?
暗躍していた保安局員デドラ・ミーロの部下として、従順に働くロニ・ヤングの正体とは?[c]2022 Lucasfilm Ltd.

資産家ダヴォ・スカルダンは、融資の手数料と引き換えに、息子とモン・モスマの娘の政略結婚を持ちかける
資産家ダヴォ・スカルダンは、融資の手数料と引き換えに、息子とモン・モスマの娘の政略結婚を持ちかける[c]2022 Lucasfilm Ltd.
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