K-POP女王BoAの主演作から「イカゲーム」俳優のコメディまで…日本未公開韓国映画発掘の秘訣を探る！

『男の本性』「イカゲーム」ホ・ソンテが主演する、男の恥ずかしい醜態を描くコメディ

佐藤「最後の1本は、タイトルどおり男性の本音をかなり赤裸々に描いたヒューマンコメディの『男の本性』です」

飯森「ドラマ『イカゲーム』で一躍、時の人となったホ・ソンテの主演作です。旬の人が出ている映画を1本と思って選びました。個人的にはこれが一番好きです。彼が主に登場する前半パートは、『ソニはご機嫌ななめ』や『次の朝は他人』のホン・サンス監督の映画のテイストにすごく似ています。お酒の入った男のみっともなさみたいなものを抑制的に描いていくのかと思いきや、だんだん、タガが外れてきて、下品な方向に爆走していく…」

佐藤「彼の物語で最後までいくのかなと思っていたら、かなり後半になってから主人公が代わるのも驚きました」

飯森「いろいろと予測不能な映画で、一番楽しめました。個人的に食べ物をちゃんと描いてくれる作品が好きなので、そこもオススメのポイントです」

佐藤「たしかに、ソンテ扮する男が中華料理店の店主で、得意料理がチャジャン麺ですね。気になる女性を誘う時も『タラチゲのおいしい店を知っている』と言いますね。後半の舞台も、鶏鍋の食堂です」

飯森「観ているだけで、韓国に行きたいなと思っちゃいますよね。改めて韓国の身近さを感じます」

「ほかでは観られない映画を扱う放送&配信サービスがあってもよいのでは？と考え、いろいろと試みている」(飯森)

佐藤「こうして伺っていると、本当にバラエティ豊かな5本だということがよくわかります。熱心な韓国映画ファンが、現地に行って観てきたような映画を自宅で堪能できる貴重なラインナップだと思います」

飯森「日本で公開されない映画を観るために、DVDなど個人輸入をしていた方もいましたよね。ただ、それではハードルが高すぎるので、ほかでは観られない映画を扱う放送&配信サービスがあってもよいのでは？と考え、私はスターチャンネルで韓国映画に限らず、いろいろと試みています。また、韓流初期のころにはなんでも紹介されていたのに、日本でヒットするパターンが固まってきてからは紹介されづらくなったジャンルの小、中規模の作品を日本に持ってくるルートを担いたいという思いもあります」

佐藤「“本邦初”となると、邦題も付けなければですが、なにかポイントはありますか？」

飯森「絶対に直訳です。これは韓国映画以外でもこだわっています。“オリジナルを尊重したい”という理由はもちろんあります。また、大きく変更するには映画の権利元のOKが必要なので交渉が億劫ですし(笑)、映画ファンから反感を買うリスクもあります」

佐藤「映画ファンは直訳が好きな方が多いと思いますし、製作されてから時間が経っている作品だと、原題をすでに知っている場合もあるので、『あの作品が観られるのか！』と気づいてもらえやすそうですね」

飯森「今回の特集は、初めてだからこそできる多様なラインナップになりました。ご好評をいただければ、今後も続けていきたいと思っていますが、今回の結果を受けて今後ジャンルに偏りは出ていくかもしれません。なのでこの第1回をぜひ、多くの方に観ていただきたいですね！」

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取材・文/佐藤結