すべては「もっくんを裸にする」から始まった!本木雅弘よりバトンを繋いだ「シコふんじゃった!」の魅力

コラム

すべては「もっくんを裸にする」から始まった!本木雅弘よりバトンを繋いだ「シコふんじゃった!」の魅力

Shall we ダンス?』(96)や『それでもボクはやってない』(07)の周防正行監督が総監督を務めるディズニープラスオリジナルドラマシリーズ「シコふんじゃった!」(ディズニープラスにて独占配信中)。本木雅弘が主演を務め周防監督が手掛けた映画『シコふんじゃった。』(92)の30年後を新世代のキャストで描いた本作も、残すところあと2話。本稿では、前作の物語やテイストをしっかりと受け継いだ本作の、映画ファンなら見逃せないポイントを紹介していこう。

描かれるのは前作から30年後!前作ファン必見の展開が次々訪れる
描かれるのは前作から30年後!前作ファン必見の展開が次々訪れるディズニープラスオリジナルドラマシリーズ『シコふんじゃった!』ディズニープラスで独占配信中 [c]2022 Disney

「もっくんを裸にする」から始まり映画賞を総なめ!30年前の前作をプレイバック

前作『シコふんじゃった。』が公開された1990年代の前半といえば、世は空前の相撲ブーム。若花田(後の横綱若乃花)と貴花田(後の横綱貴乃花)の“若貴フィーバー”や、大横綱千代の富士の引退など、日本中が相撲に熱中していた。そうしたなかで、それまであまり映画の題材に選ばれてこなかった“相撲”をあえて描いた周防監督。10月に行われたイベントでも明かしていたが、その企画の始まりは『ファンシイダンス』(89)でもタッグを組んだ本木を“裸にする”という発想からだったという。

【写真を見る】「もっくんを裸に」から始まった!色あせない本木雅弘の美しさに目を奪われる『シコふんじゃった。』
【写真を見る】「もっくんを裸に」から始まった!色あせない本木雅弘の美しさに目を奪われる『シコふんじゃった。』映画『シコふんじゃった。』ディズニープラスで配信中 [c]KADOKAWA 1992

教立大学に通う4年生の山本秋平(本木)は、就職も決まったある日、卒論の指導教員の穴山冬吉(柄本明)から卒業に必要な単位を得るためにある条件を提示される。それは廃部の危機に瀕した弱小相撲部の一員として試合に出るということ。唯一の現役部員である青木富夫(竹中直人)と共に部員集めに奔走する秋平。なんとか試合に出られるだけの人数は集まったものの、試合に臨むと誰一人として勝ち星をあげられないまま敗退。OBの熊田寅雄(六平直政)から怒鳴りつけられたことをきっかけに、秋平をはじめとした部員たちは本気で相撲に打ち込んでいく。

第16回日本アカデミー賞では7つの優秀賞を受賞し、そのうち最優秀作品賞や最優秀監督賞、最優秀主演男優賞など5つの部門で最優秀賞を獲得。他にも同年の「キネマ旬報ベストテン」では日本映画第1位、読者選出日本映画第1位に輝くなど数多くの映画賞を受賞。この成功が、映画になりづらい題材を王道のストーリーで描き、チャーミングなキャラクターたちで笑いあり涙ありのエンタテインメントに昇華させる周防作品の礎を築きあげ、社会現象を巻き起こした次作『Shall we ダンス?』へとつながったといえるだろう。


チームの結束が一気に高まる合宿エピソードは必見!
チームの結束が一気に高まる合宿エピソードは必見!ディズニープラスオリジナルドラマシリーズ『シコふんじゃった!』ディズニープラスで独占配信中 [c]2022 Disney

また、1993年に周防監督がプロデューサーの桝井省志らと共に設立したアルタミラピクチャーズでは、この『シコふんじゃった。』を手本にしたような“部活青春ドラマ”の傑作が次々と作られていく。田中麗奈のデビュー作となった磯村一路監督の『がんばっていきまっしょい』(98)ではボート部の女子高生たちの群像が描かれ、矢口史靖監督の『ウォーターボーイズ』(01)ではシンクロに挑む男子高校生たち、『スウィングガールズ』(04)ではビッグバンドジャズに挑む女子高生たちを取り上げ、いずれも大きな話題を博した。

いずれも未経験者たちがその世界へと飛び込み、挫折や苦労を味わい、合宿などを通してチームの絆を深めながら全集中で没頭していく。映画やドラマ、アニメなど、現在まで続く部員目線で描かれた部活青春ドラマの王道パターンは『シコふんじゃった。』が確立したといってもいい。

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