すべては「もっくんを裸にする」から始まった!本木雅弘よりバトンを繋いだ「シコふんじゃった!」の魅力
清水美砂、竹中直人、田口浩正、柄本明…OBキャストが続々登場!
前作を想起させる部分は、ストーリーやキャラクター設定だけではない。前作に登場した個性的なキャラクターたちが次々と再登場し、「シコふんじゃった!」の世界は『シコふんじゃった。』と地続きになっているものだということを証明していく。
まずは前作の穴山のように亮太を相撲部に誘い込む教授の川村夏子(清水美砂)。前作では相撲部のマネージャーを務め、秋平を相撲部に引き込み、教立大学相撲部にメディアの注目を集めさせた立役者でもあるヒロインだった。前作のクライマックスで彼女が秋平と一緒に四股を踏むシーンで、さりげなくヒールを脱いだ美しさは、30年の時を経て土俵の上ですり足を披露する穂香に継承される。
また、前作のラストで相撲部屋に入門した田中がちゃんこ屋の店主として現役部員たちを優しく支え、またしても口うるさいOBとして登場する熊田が主人公を焚き付ける。そして穂香が“先生”と慕う憧れの存在として登場する青木が、コメディリリーフとして大活躍。やはり周防作品に“竹中直人=青木富夫”は欠かせない。さらに前作でライバル校の選手だった“北東のケン”(宮坂ひろし)が指導者として再登場したり、第6話では満を持して穴山も登場。30年経って再び彼らの姿を見ることができるとは、前作のファンにとってはたまらない展開の連続だ。
そうなると期待してしまうのは、やはり秋平が再登場するのかどうかだ。残念ながらその情報はないものの、今回のドラマ化に際して本木は公式にコメントを寄せている。「30年後にこんな風に『シコふんじゃった。』が見られるとは思っていなかった。こんなに普遍的なものだったんだ…」と感慨深げにこの世界が引き継がれたことへの心境を語り、モラトリアム世代の大学生たちの無謀さと危うさ、成長していく姿が描かれる本作のおもしろさを熱弁。30年前の思い出なども語り、「この作品を観ると人生観がちょっと変わると思います」とアピールしていた。
第1話の劇中には、亮太が部室の壁に掲げられた歴代部員たちの名札を眺めながら「すごい歴史があんだな…」とつぶやくシーンがある。そこには“平成三年度”のところに前作のメンバーたちの名前を確認することができ、“平成四年度”のところには秋平の名札が。映画のラストで宣言した通り、秋平は相撲部に残って存続のために努力していたことがはっきりと示され、前作の主人公である秋平の大きさを物語っている。前作後のストーリーや、秋平と夏子との関係性などがなんらかのかたちで語られないだろうかと期待しながら、ドラマ終盤の“取組”を楽しみたいところだ。
ディズニープラスオリジナルドラマシリーズ「シコふんじゃった!」はディズニープラスにて独占配信中。前作『シコふんじゃった。』もディズニープラスにて配信中だ。
文/久保田 和馬