「スター・ウォーズ」を思わせる師弟対決が心を打つ「ウィロー」第3話をレビュー!魔法の力が解き放たれる…
ジョージ・ルーカスが原案と製作総指揮を務めた冒険ファンタジー映画『ウィロー』(88)の20年後の世界を描いたオリジナルシリーズ「ウィロー」が、ディズニープラスにて独占配信中。MOVIE WALKER PRESSでは、エンタメ感満点で描かれる本作の魅力をレビュー連載で徹底ガイド。今回は、登場人物たちが抱える苦悩と劇的なバトルを描いた第3話のレビューをお届けする!
※以降、ストーリーの核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。
ウィローが抱える老いへの苦悩…“カイメリアの胸当て”の伝説も明らかに
世界観のおさらいと、ウィロー(ワーウィック・デイヴィス)と若き冒険者たちとの旅の始まりが描かれた第1話&第2話では、かつての“しるし”を持つ赤ん坊=エローラがダヴというキッチンメイドとして、“特別”ではなく育てられてきたことが明らかになった。そのためウィローから魔法の特訓を受けてもなかなか呪文を使いこなせないエローラ(エリー・バンパー)。何度も練習を重ね、草木を芽生えさせることに成功する彼女だったが、それに気付かないまま、闇落ちした騎士バランタイン(ラルフ・アイネソン)に連れ去られてしまう。
第3話「へべれけ子羊の戦い」では、そんなエローラを取り戻すための険しい道のりにフォーカスが当てられながら、登場人物たちそれぞれの内面へと迫っていく。特に注目すべきは、偉大な魔法使いへと成長を遂げながら、その力を見せようとしないウィローが抱える“老い”という苦悩だ。前作から物語上の時間経過はおよそ20年。現実では前作から34年が経っているので、それに比べれば短く思えるのだが、赤ん坊だったエローラが愛のために行動する女性へと勇ましく成長していることを踏まえれば、前作ですでに青年だったウィローは壮年期に差し掛かっている。
魔法を使わない理由としてウィローは、若いころに比べて回復力が落ちているので、いざという時のために力を温存していく必要があるとサイラス(グレアム・ヒューズ)に語る。「当時の自分に伝えたい、若さは貴重だ」と嘆く言葉からもわかるように、老いと衰えは魔法の力をもってしても抗えない。だからこそウィローは、エローラに少しでも早く魔法を訓練させようと躍起になっていたのだろう。
ところで今回の冒頭は、“カイメリアの胸当て”にまつわる伝説から始まった。1万年ほど前にカイメリア帝国で起きた、皇太子スールとその弟ティベリウスによる君主の座をめぐる争い。そこで2人の母であり妖精の力を持つアナベルが作ったのが“カイメリアの胸当て”であり、魔法の鍵で起動すれば着用者に真の力をもたらしてくれるという。
その話をボーマン(アマール・チャーダ=パテル)から聞かされたキット(ルビー・クルス)は、要点を手短にいうよう求め「お前らの世代は長編物語に耐性ゼロだな」とからかわれる。また、バランタインから逃れたエローラが森で2人の女性に焦りながら助けを求める時にも、彼女たちは「最近の若者は状況を把握する力が弱い」と笑う。ここでもまた、“老い”と相関する“若さ”であったり、世代間のギャップというものがキーワードとなっていることがよくわかる。
ちなみに前回のエピソードでマッドマーティガン(ヴァル・キルマー)の従者として一緒に“カイメリアの胸当て”を探す旅をしていたと、マッドマーティガンの娘であるキットに明かしたボーマンは今回、消息不明となっている彼について言及する。死ぬところは見ていないが、彼が生きていたら戻ってきて状況を変えてくれるはずだと。その言葉も含め、“カイメリアの胸当て”が物語のカギを握るアイテムとなれば、それを見つけたマッドマーティガンが再登場するフラグは充分すぎるほど立っている。