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仁義なき(メイドたちの)戦い…萌えと血しぶきに満ちた「アキバ冥途戦争」の攻めすぎな魅力

コラム

仁義なき(メイドたちの)戦い…萌えと血しぶきに満ちた「アキバ冥途戦争」の攻めすぎな魅力

気持ちいいぐらいにダメ人間の店長がヤバい!

メイド喫茶の真の姿に衝撃を受けながらも持ち前の根性で前向きに奮闘する主人公のなごみや、寡黙ながら作中屈指の戦闘力を誇る嵐子のほか、とんとことんには、愛らしいビジュアルと言動で店内トップの人気を誇るも実はクールな毒舌家であるゆめち(声:田中美海)、サバサバしていてどこか達観しているガングロメイクが特徴のしぃぽん(声:黒沢ともよ)、第3話で嵐子とリング上で殴り合い、互いを認め合ったロシアの軍隊出身のゾーヤ(声:ジェーニャ)といった個性的なメイドたちが所属。彼女らの日々の業務や他店との戦いで繰り広げられるかけ合いも本作の魅力で、そのなかでも特に、店を率いるべき立場ながら、いつもトラブルを持ち込んでしまう店長のキャラクター性は強烈だ。

経営センスが壊滅的で、いつもトラブルを持ち込んでしまうとんとことんの店長
経営センスが壊滅的で、いつもトラブルを持ち込んでしまうとんとことんの店長[c]「アキバ冥途戦争」製作委員会

経営センスが壊滅的で常に店は火の車状態だが、なぜかあまり焦ることなく飄々としている店長。一方で、権力に対しては気持ちいいぐらいに服従する姿勢を見せ、おひねりちゃんを徴収しに来た取り立て屋(声:内山昂輝)にも迷わず土下座の姿勢で応対している。基本的に店のメイドたちを大切に思っているようではあるが、おひねりちゃんを支払えない代わりに、取り立て屋に命じられるままなごみと嵐子を(死ぬかもしれないとわかっていながら)チュキチュキつきちゃんへのお使いへ送るなど、切り替えの早さもすさまじい。

土下座が板についている店長
土下座が板についている店長[c]「アキバ冥途戦争」製作委員会

また、店長には印象的な名(迷?)ゼリフも多く、第2話で消費者金融から借りた金を闇カジノですべてすってしまった際の、「落ち着こう。まだ生きている」や(すかさず「死ねよ」とツッコむゆめちの返しも含めて流れが秀逸)、スロットマシンでそれなりの金額を取り戻せたところでギャンブルをやめようとしたなごみに対し、「ギャンブルってのは人生と同じなんだよ。負けたっていい、笑われたっていい。けど、逃げるのはダメだ」と言って勝負を続行しようとするなどクズっぷりを発揮。第3話の地下闘技場で八百長に失敗した時には、裸になって正座することで闘技場のオーナーへの誠意を示そうとし、「夢があるんです!ハワイのコテージでイケメンを囲って、働かずに暮らしたいんです」と理解不能な言葉を並べて挽回しようとするなど、とにかくその支離滅裂な言動から目が離せない。

「そんなことより野球しようぜ!」な、野球回もあるよ
「そんなことより野球しようぜ!」な、野球回もあるよ[c]「アキバ冥途戦争」製作委員会

最終回を目前に、とんとことんのマスコット的なキャラクターだった御徒町さんのまさかの正体や、凪に関する真実も明らかになるなど、物語がヒートアップしていく「アキバ冥途戦争」。はたして、アキバの縄張りを巡る“仁義なき戦い”はどのような結末を迎えるのか。オリジナル作品ならではの先の読めない展開で突っ走る本作の、仁義の先の終着点を静かに見守りたい。

文/平尾嘉浩

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