2022年の韓国映画、総決算!大鐘賞映画祭のレッドカーペット&授賞式を振り返り

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2022年の韓国映画、総決算!大鐘賞映画祭のレッドカーペット&授賞式を振り返り

韓国映画の総決算となる映画の祭典・第58回大鐘賞映画祭が、12月9日に開催された。『パラサイト 半地下の家族』(19)が席巻した2020年以降は開催が延期され、今年は1年ぶりのレッドカーペットと授賞式となった。開催地である建国大学は、かつて俳優を目指していたBTSジンの出身校でもあり、現在は世界の巨匠ホン・サンス監督が教鞭を振るう、韓国エンターテインメントの聖地とも言える場所だ。

オン・ソンウ、パク・ジェチャンからパク・ヘイルまで…今年の韓国映画の顔たちが勢揃いするレッドカーペット

まず登場したのは、今年の韓国映画界に彗星の如く現れた新鋭たちだ。ロングコートのようなストライプのジャケットを着こなすオン・ソンウ(元Wanna One)は、ミュージカル映画『人生は美しい(原題)』で一躍スターダムを駆け上った。本作については、「僕に始まりをくれ、最初の一歩を踏み出させてくれた映画」と喜びを口にしていた。

フレッシュな演技が評判を呼んだ『人生は美しい』オン・ソンウン
フレッシュな演技が評判を呼んだ『人生は美しい』オン・ソンウン[c]大鐘賞

オン・ソンウに勝るとも劣らない存在感を放っていたのが、韓国BLドラマの新たな金字塔「セマンティックエラー」で大旋風を巻き起こしたDKZのパク・ジェチャン。若々しいからこそ着こなせるシンプルなスーツ姿の彼もまた、初主演作について「僕に自信を与えてくれて、ターニングポイントになった作品」と感慨深げに語った。

【写真を見る】「セマンティックエラー」でツンデレ青年を好演したパク・ジェチャン
【写真を見る】「セマンティックエラー」でツンデレ青年を好演したパク・ジェチャン[c]大鐘賞

リュ・ジュンヨルと共演した最新作『フクロウ(原題)』も観客動員200万人を突破し、波に乗る『不思議の国の数学者(原題)』のチョ・ユンソは、透明感を演出する素材が印象的なオフショルダーのドレスで会場の視線を集めていた。

話題作に次々と出演したチョ・ユンソ
話題作に次々と出演したチョ・ユンソ[c]大鐘賞

『ブルドーザーに乗った少女(原題)』のキム・ヘユンは、母校である建国大学への“凱旋”に興奮気味だった。劇中ではタトゥーだらけの腕と下品な言葉遣いで権力に抗う強烈なキャラクターだったが、今日という晴れの日に選んだのはエレガントなブラックワンピースで、作品とはまた違う美しさを振りまいていた。また『犯罪都市 THE ROUNDUP』(22)で、シリーズ第一作に続きコミカルな演技がファンを楽しませた愛すべき小悪党イスことパク・チファンも、タキシードでドレスアップ。こうしたギャップで俳優たちの新たな魅力を発見するのも、映画祭のレッドカーペットの醍醐味だ。

『ブルドーザーに乗った少女(原題)』の日本公開が待たれるキム・ヘユン
『ブルドーザーに乗った少女(原題)』の日本公開が待たれるキム・ヘユン[c]大鐘賞

ピョン・ヨハンは、黒の3ピースアイテムにジャケットだけ白を取り入れる大胆な発想で、重くなりがちな冬の装いに上品に映えていた。そんな彼とお揃いのように白いジャケットを合わせてきたのが、パク・ヘイルだった。『閑山:竜の出現(原題)』では敵同士だった二人の“双子コーデ”に、思わず頬が緩んでしまう。

エモーショナルなアクション演技が今年も評判を呼んだピョン・ヨハン
エモーショナルなアクション演技が今年も評判を呼んだピョン・ヨハン[c]大鐘賞

パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』(2023年1月23日公開)も待ち遠しいパク・ソダムは、マーメイドを思わせる涼やかな水色のドレスにゴージャスなネックレスを合わせて登場。そんな彼女とバラエティ番組「三食ごはん – 山村編」で家族のような絆を結んでいたヨム・ジョンアもレッドカーペットに参加。『人生は美しい(原題)』で念願だったというミュージカル映画への主演を果たし、さらに高評価も得るなど、2022年は大成功の年だった。星空のようにスパンコールをちりばめたウォームトーンのドレスは、彼女の変わらぬ麗しさを一層際立たせていた。

見事主演女優賞を獲得したヨム・ジョンア
見事主演女優賞を獲得したヨム・ジョンア[c]大鐘賞

『別れる決心』が有終の美!監督賞は『キングメーカー 大統領を作った男』ビョン・ソンヒョン監督が受賞

レッドカーペットに引き続き行われた大鐘賞授賞式では、昨年10月から今年9月までに公開された映画253本の中から、19の分野に渡って選ばれた作品が競い合った。

受賞者たちによる笑顔の1枚
受賞者たちによる笑顔の1枚[c]大鐘賞

青龍映画賞では6部門を制覇した『別れる決心』(2023年2月17日公開)は、主演男優賞(パク・ヘイル)、脚本賞(パク・チャヌクチョン・ソギョン)、最優秀作品賞と3部門で栄光に輝き、有終の美を飾った。パク・ヘイルは「個人的に俳優として映画に接する時、好奇心が私にとって最大のエネルギーでした。 これからもその好奇心で、失敗しても役者を続けていきます」と今後のキャリアも期待させる抱負を口にした。

史劇からラブストーリーまで、幅広い演技力を見せたパク・ヘイルは主演男優賞を受賞
史劇からラブストーリーまで、幅広い演技力を見せたパク・ヘイルは主演男優賞を受賞[c]大鐘賞

彼は今年、鬼気迫る武将から愛の苦悩に陥る刑事まで、凄みと繊細さを縦横無尽に行き来してスクリーンを沸かせた、まさに功労者と言ってもよいのではないだろうか。さらに主演男優賞のプレゼンターにイ・ビョンホンが登壇したことで、『天命の城』(17)で共演した二人のが睦まじさにも感激させられた。

登場するだけで神々しい!タキシード姿が眩しいイ・ビョンホン
登場するだけで神々しい!タキシード姿が眩しいイ・ビョンホン[c]大鐘賞

監督賞を獲得したのは、『キングメーカー 大統領を作った男』(21)のビョン・ソンヒョン監督。ナイキのスニーカーでステージに上がる彼らしさを見せた一方、感想では「私の心の主演男優賞は、イ・ソンギュンさんです」と力を込めて語った。確かに大統領選挙参謀を演じたイ・ソンギュンは、共演者のソル・ギョングも舌を巻くほどの演技力でストーリーを牽引したにもかかわらず、百想芸術大賞や青龍映画賞、そして大鐘賞でも正当に評価されておらず、『キングメーカー』での役柄同様、大統領候補という光り輝く存在の“影”になってしまっている。短いコメントの中に俳優への敬意を言い表すビョン・ソンヒョン監督に、気骨を感じた瞬間だった。

新作『キルボクスン』も控え、強いバイタリティで映画を作り続けるピョン・ソンヒョン監督
新作『キルボクスン』も控え、強いバイタリティで映画を作り続けるピョン・ソンヒョン監督[c]大鐘賞

功労賞には、血液がんの闘病中であるアン・ソンギが選ばれた。ビデオ映像で登場した彼は、受賞の感想と共に映画人とファンへの愛を穏やかな口調で語った。作品規模の大小にかかわらず精力的に活躍し続けてきたアン・ソンギは、韓国映画界の伝説的存在だ。世界的にも評価されたインディペンデント作品『よりそう花ゝ』(2023年1月13日公開)の日本公開も決まった今、一日も早い回復が待たれる。

病に伏してもなお映画への情熱を口にしたアン・ソンギの姿は、若い映画人への刺激になったはず
病に伏してもなお映画への情熱を口にしたアン・ソンギの姿は、若い映画人への刺激になったはず[c]大鐘賞


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