ディズニー系列が合計26部門と圧倒的強さ!ゴールデン・グローブ賞ノミネーションは『イニシェリン島の精霊』が最多7部門
アカデミー賞の前哨戦の座をねらう2つの組織が、来年1月に行われる授賞式の候補作品を発表した。現地時間12月12日にはハリウッド外国人記者協会(HFPA)が選ぶ第80回ゴールデン・グローブ賞、12月14日には放送映画批評家協会が選ぶ第28回放送映画批評家協会賞(Critics Choice Awards)がノミネーションを発表。ゴールデン・グローブ賞の投票者は、HFPA所属の96名の外国媒体で働くジャーナリストと、今年初めて追加された世界62か国の投票者103名の計199名、一方のCCAは主にアメリカとカナダの媒体で批評や報道を行う600名以上のジャーナリストが名を連ねる。
2023年1月10日にNBCと系列ストリーミングのPeacockで生中継される第80回ゴールデン・グローブ賞のノミネーションのうち、映画部門の最多ノミネーションは『イニシェリン島の精霊』(2023年1月27日公開)の7部門8ノミネーションで、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2023年3月3日公開)が6部門。そして『バビロン』(2023年2月10日公開)、『フェイブルマンズ』(2023年3月3日公開)が続く。
ドラマ部門では、Disney+作品「アボット エレメンタリー」の5部門、Netflix作品「ザ・クラウン」、Netflix作品「ダーマー」、Disney+作品の「マーダーズ・イン・ビルディング」「パム&トミー」、HBO Max、U-NEXT作品「ホワイト・ロータス / 諸事情だらけのリゾートホテル」が4部門で並ぶ混戦に。
スタジオ別では、映画部門でサーチライト・ピクチャーズが12部門、次点のA24が10部門、Netflixが9部門。テレビ部門では、HBO MaxとNetflixが14部門で並び、次いでディズニー傘下のHuluが 10部門。同じく傘下のFXが9部門、ABCが6部門、Disney+が1部門でディズニー系列のノミネーションは合計26部門と圧倒的強さを見せた。
映画部門ドラマ作品賞に『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(12月16日公開)、『トップガン マーヴェリック』(公開中)、『エルヴィス』(22)、『フェイブルマンズ』『TAR』(2023年5月公開)、ミュージカル/コメディ部門には『バビロン』『イニシェリン島の精霊』『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』『ナイブズ・アウト: グラス・オニオン』(12月23日公開)、スウェーデンのルーベン・オストルンド監督の『逆転のトライアングル』(2023年2月23日公開)が選ばれている。S.S.ラージャマウリ監督の『RRR』(公開中)は非英語長編映画賞だけでなく、「ナートゥ・ナートゥ」が歌曲賞にもノミネートされた。また、長編アニメーション部門に湯浅政明監督の『犬王』(公開中)が選ばれている。功労賞にあたるセシル・B・デミル賞はエディ・マーフィが受賞。
ゴールデン・グローブ賞主催のHFPAは、2021年のキャンセルを受けて組織再編を行っている最中。2003年に当時の会長に性的ハラスメントを受けたと告発したブレンダン・フレイザーは、ダーレン・アロノフスキー監督作『The Whale』の演技で映画部門ドラマ主演男優賞にノミネートされている。また、映画部門ドラマ作品賞ノミネートの『トップガン マーヴェリック』で主演を務めたトム・クルーズは、協会への批判を込めて過去に授与されたトロフィーを返却している。
2023年1月15日にロサンゼルスで行われる第28回放送映画批評家協会賞は、ケーブルテレビ局のCWで放送予定。映画部門の各賞ノミネーションが12月14日に発表された。最多ノミネートは、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の14部門。演技部門だけでも、主演女優賞のミシェル・ヨー、助演男優賞のキー・ホイ・クァン、助演女優賞にジェイミー・リー・カーティスとステファニー・スーの4名が入った。続くのは『フェイブルマンズ』の11部門、『バビロン』と『イニシェリン島の精霊』の10部門。放送映画批評家賞には撮影賞や美術賞などのスタッフ賞、アンサンブル演技賞や新人俳優賞、コメディ映画賞部門などもあり、『エブリシング~』の大量ノミネートには技術部門も含まれる。
外国語映画賞には、ドイツの『西部戦線異状なし』、アルゼンチンの『アルゼンチン1985 歴史を変えた裁判』、メキシコの『バルド、偽りの記録と一握りの真実』(公開中)、ベルギーの『Close』、韓国の『別れる決心』(2023年2月17日公開)そしてインドの『RRR』がノミネートされている。ゴールデン・グローブ賞では監督賞5名に女性監督が入らなかったことが指摘されているが、放送批評家協会賞ではノミネーション10枠に『ウーマン・トーキング 私たちの選択』(2023年夏公開)のサラ・ポーリー監督、『Woman King』のジーナ・プリンス=バイスウッド監督が選出されている。また、脚色賞に黒澤明監督の『生きる』(52)を英語リメイクした『生きる LIVING』(2023年3月31日公開)のカズオ・イシグロが入っている。