ASTROを愛するすべてのファンへ贈る。6人の原点がここにある『STARGAZER: ASTROSCOPE』をレビュー
ユニットコーナーの舞台裏を垣間見る
場面が変わり、ステージでの覚醒から一転、少年のように瞳を輝かせ、自身の愛用品について話すラキ。それぞれの色の違いがおもしろい、グループ内ユニットの練習風景と舞台裏だ。
具体に触れずとも、ニュアンスでの会話でも分かり合えるジンジン、ラキ。合間には、グループについても語られた。「全員が同じ方向を向いている」「メンバー全員の意見に耳を傾ける」、ラキいわくASTROは「そんなグループ」。別撮りのインタビューにも関わらず、ジンジンがラキの言葉を補強する。彼らがあっさりと言う「そんなグループ」こそ、実際に築くのは難しいもの。けれど、それを当たり前とするASTROに、寂しさや不安はすーっと消えていく。
ムンビン、ユンサナが披露するのは、セクシーでラグジュアリーなステージ。しかし、作り上げるまでの過程にはアスリートのような言葉が飛び交う。ムンビンへの憧れを素直に語るユンサナ。奔放な最年少だが、何事も素直に吸収し、成長してきた彼らしい言葉だ。ムンビンもまた、そんな弟への想いを優しい表情で語る。
ユンサナは、チャ・ウヌとのユニットにも参加した。スタッフがユンサナに投げかけた「究極の2択」、彼の大人びた答えが面白い。ユンサナが、チャ・ウヌとムンビン、それぞれに見せる表情の違いも、AROHAにとっては愛おしいことだろう。
チャ・ウヌが語る、今回のユニットステージの裏側。そこにはAROHAへの信頼と、ASTROへの期待、そして愛情を感じた。いまや世界中がその名を知るチャ・ウヌだが、「AROHAしか知らないチャ・ウヌ」がそこにいた。
メンバーが語る、それぞれへの想い…MJという存在の重さ
本編では、普段はあまり聞くことのない、お互いへの正直な気持ちも明かされている。例えば、ユンサナが語る最年少としての想い。「もう10年の仲」、それでも言葉は感謝に満ちていた。一方、最年長のMJは、ユンサナにある想いを抱いていた。優しい笑顔で、カメラの向こうのユンサナに呼びかける。
そして、メンバー全員が明かすMJへの想い。メインボーカルとして、ムードメーカーとして――ASTROにとって、“ハッピーウイルス”MJがいかに大事な存在なのかを、メンバーのあまりに素直な言葉が物語る。きっとAROHA以上に、MJに会いたいのだろう想いが伝わる。
MJ不在のコンサートがどれほど不安であったか。本編前半で見せた彼らの表情が、ここへきて線となって繋がった。寂しさは計り知れないが、きっと、立派にやり遂げたい想いもあっただろう。
「6人しかいないのに」。彼らの言葉通り、一人不在でも活動が難しいのがグループだが、ASTROは今後しばらく、そんな時間を過ごしていく。しかし誰か1人が不在でも、守れる5人であることを知ったなら、不安や葛藤も成長痛。MJが、自身不在のASTROに抱く想いはきっと、AROHAも同じだろう。
後半のソロステージでは、それぞれの感性や強みが見えるのみならず、準備中にかわす冗談や、出し合う些細なちょっかい、舞台監督との真摯なやりとりや、ダンサーと作品を作り上げる朗らかなムード――あらゆる場面に人となりが見える。改めて、全員が違って、全員がいい。
これほど違うメンバーが、ASTROとして集まれば同じ方向を向く。それは無理でもなんでもなく、「ASTRO」という守りたい原点への誇りからなのではないかと、終盤のインタビューから伝わる。表現は違えどみな、「ASTROがなければ自分はない」と、想いは同じ。チャ・ウヌやユンサナの言葉は、ASTROという関係がうらやましくなるほど温かなものだった。
最後に、未来を語るメンバー。10年後、彼らがこれを見る時には、時にからかいあい、小言を言い合い、さらに10年後への課題や夢を語りながら、6人で笑っていてほしい。そしてエンドロール終わりの数分。きっと、AROHAが大好きなASTROが、ここにぎゅっと詰まっている。
文/新 亜希子
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