【連載】「MINAMOの話をきいてミナモ?」 第10回 かわいくありたい

コラム

【連載】「MINAMOの話をきいてミナモ?」 第10回 かわいくありたい

いま人気急上昇中のAV女優、MINAMOが愛する映画や本、音楽、さらには自身の様々なことを語る連載「MINAMOの話をきいてミナモ?」。第10回は、MINAMOがかわいくなりたいと思い続けた結果、何を得たのかについて語ります。

私はずっと、かわいくなりたかった。人は顔ではないと思いつつも、やはりかわいくなりたかった

【写真を見る】かわいいを追い求めたMINAMOが手にしたものとは!?
【写真を見る】かわいいを追い求めたMINAMOが手にしたものとは!?撮影/SAEKA SHIMADA ヘアメイク/上野知香

今年もしいたけ占いに励まされ、電気毛布に支えられる時期がやってきた。「なんで1年頑張ってきたのに年末が一番忙しいんだよ」なんて、ぐちぐち言いながら新幹線のチケットを急いで予約する。オンラインチケットの「京都行き」の文字を見ながら、私はふと実家に置いてきたあるものを思い出したのである。

私はずっと、かわいくなりたかった。人は顔ではないと思いつつも、やはりかわいくなりたかった。今までさんざん「人は中身」なんて言っていた私が、「かわいくなりたい」なーんて言い出すのだから、ハテナが頭に浮かぶ人も多いだろう。まあ、ちょっと聞いてくださいな。

それは中学3年生の秋までさかのぼる。私には小学生の頃からずっと好きだった男の子がいた。空手と真摯に向き合い、少しシャイだけど女の子にはとても優しい。そんな男の子だった。中学校卒業を控えた秋頃、私は焦っていた。「大好きな人と結ばれたい」と。思春期真っただ中の夢みる夢子ちゃんであった。そんな私はその空手少年に告白することを決意。

その頃地元のヤンキーの先輩と別れたすぐ後で、私はひどく、"みてくれが悪かった"。眉毛は細さ約3ミリ、極太のアイラインにつけまつ毛を2枚重ねる始末。スカートはパンツが見えるくらいまで折って、下にはスウェット、極め付けはキティーちゃんの健康サンダルだ。

自分の容姿に執着しメイク、肌、髪、体型、話し方まで見直したMINAMO
自分の容姿に執着しメイク、肌、髪、体型、話し方まで見直したMINAMO撮影/SAEKA SHIMADA ヘアメイク/上野知香

告白の結果は見事に惨敗。「好きな子がいるから」と、玉砕。それならまだよかった。さらに後日、彼は私をずっと陰湿にいじめていた女の子と付き合っていたことを知ってしまった。「ジャジャジャジャーン」と、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」が本当に頭の中で流れることがあるんだと私は知る。その女の子は、意地悪だったけど明るくて、何より顔がすこぶる可愛かった。その日から私は「絶対にかわいくなってやる」と決意し、自分の容姿に執着するようになったのだ。

そこからの私は目に見えないくらいのスピードで走り出した。もう本気です。メイク、肌、髪、体型、話し方、思いつく全てを見直した。17歳、勉強しろよって話ですが。まずナチュラルメイクを研究し、皮膚科に通うことを覚え、いろんなスキンケアを試した。シナールやチョコラAにハイチオールなど、毎日数種類のサプリをのむ。「世界一美しいふるまいとマナー」や「タカラヅカ式 美しい人の作法の基本」、「お嬢さまことば速修講座」といった本を買ってみて、何度も見よう見まねで練習したりした。当時の私よ、どんな顔して、どんな心持ちでその本をレジまで持って行けたのか。


■MINAMO プロフィール
京都府出身。2021年6月にSOFT ON DEMANDよりAV女優としてデビュー。趣味は映画&レコード鑑賞、読書。
YouTubeにて「MINAMOジャンクション」を配信中。
Twitter:@M_I_N_A_M_O_
Instaglam:minamo_j


人気セクシー女優がエンタメ愛を語るエッセイ連載「MINAMOの話をきいてミナモ?」
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