傑作ドラマや韓国映画でよく見る“あの人”。韓国の名バイプレイヤーを、映画ライターがピックアップ

コラム

傑作ドラマや韓国映画でよく見る“あの人”。韓国の名バイプレイヤーを、映画ライターがピックアップ

韓国ドラマや映画を鑑賞中に「この脇役の人、なんか見たことある気が…」と思った経験はないだろうか。人々を夢中にさせる秀作には、作品に深みを持たせる名脇役=いわゆる“バイプレイヤー”が登場するが、韓国では特に、強烈な存在感を放つ“名バイプレイヤー俳優”が数多く存在する。そこで、MOVIE WALKER PRESSは韓国コンテンツに造詣が深いライターへアンケートを実施。それぞれが「韓国作品を語るに外せない!」と考える、抑えておくべき韓国の名バイプレイヤーたちを一挙紹介する。「この人、あの作品にも出ていたんだ」という発見につながるかも?

パク・チャヌク監督最新作も控えるソ・ヒョヌ&確かな演技力で存在感を残すヨム・ヘラン

待機作も目白押しのソ・ヒョヌ
待機作も目白押しのソ・ヒョヌ[c]SPLASH/AFLO

初めてソ・ヒョヌを発見したのは、2018年に釜山国際映画祭で観た『A Boy and Sungreen(英題)』。生き別れた父親を捜すボヒとその幼なじみノギョンが繰り広げるジュブナイルストーリーである本作で、彼はボヒの腹違いの姉の恋人役だった。スクリーンに登場した時、衝撃的なほどいかつくだらしがなかったのだが、ぶっきらぼうながら思いがけないアドバイスをくれるなど、みずみずしい10代の冒険をそっと後押しする演技に魅了された。

デビューから10年、「悪の華」で初主演を務めたソ・ヒョヌ
デビューから10年、「悪の華」で初主演を務めたソ・ヒョヌ[c]EVERETTE/AFLO

大器晩成と呼ばれる彼は、「悪の華」でデビュー10年で念願の主演を務めると、『別れる決心』(2月17日公開)で見事パク・チャヌク組への仲間入りも果たした。作品のジャンルを問わず着実に活躍の場を広げつつあるが、引き受けた役について徹底的にバックグラウンドを考え、時には曾祖父まで作り込むという役者根性には浮ついたところがない。ソル・ギョングと共演する『幽霊(原題)』が楽しみだ。

「トッケビ」や「未成年裁判」などにも出演する実力派、ヨム・ヘラン
「トッケビ」や「未成年裁判」などにも出演する実力派、ヨム・ヘラン[c]ACE FACTORY

『82年生まれ、キム・ジヨン』(19)で、つきまといに遭う主人公を機転で救う“スカーフを持った女性”ヨム・ヘランの姿を、多くの人が覚えているだろう。カメオ出演で、これほど感動させる演技をする俳優もそういないのではないか。ヨム・ヘランは自分自身のオーラを消しながら与えられたキャラクターを生きることで、作品にぴたりとはまるピースとなる稀有な俳優だ。

『無垢なる証人』(19)の家政婦役を演じていたのもヨム・ヘラン
『無垢なる証人』(19)の家政婦役を演じていたのもヨム・ヘラン[c]EVERETTE/AFLO

出演作を挙げたらきりが無いが、『無垢なる証人』(19)では疑惑の家政婦として、「未成年裁判」(Netflixで独占配信中)では非行少女を更生へ導く施設長として、時に観客を泣かせ、時に背筋を寒くさせる千変万化の表情を見せる。若手劇団員時代から、周りがやらないお母さんやおばさん役を引き受け続けてきたというエピソードにもグッと来る。「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」(Netflixで独占配信中)は主人公の影で暗躍する復讐者を演じるそうで、こちらも見逃せない。
(ライター・荒井南)

この気だるげな顔に覚えがあるはず…チョ・ウジン

クセのある役もこなすチョ・ウジン
クセのある役もこなすチョ・ウジン[c]SPLASH/AFLO

「名前は出て来ないけどこの人知っている!」「この人、あのドラマにも出ていたよね!」となる、主演よりも強烈な存在感を醸しだすバイプレイヤーといえば、真っ先に思い出すのがチョ・ウジン。テレビドラマデビューは2010年だが、実は1999年から劇団で活動してきたベテラン役者である。だが個人的に「この人、ちょっとおもしろいかも」と思い、初めてちゃんとチョ・ウジンの存在を認識したのは『インサイダーズ/内部者たち』(15)からだった。残業に疲れたサラリーマンみたいな気だるい顔をしたままイ・ビョンホンの腕を切り落とす姿を見て、「こんなやる気ない悪役いる!?」と思った覚えがある。そこからチョ・ウジンは、彼にしかできない演技で、ぱっと見ごく普通なキャラクターを特別に再創造する、卓越した能力の持ち主ということに気付いて、ファンになってしまった。


Netflixオリジナルシリーズ「ナルコの神」では、視聴者に衝撃を与えたピョン・ギテ役を熱演
Netflixオリジナルシリーズ「ナルコの神」では、視聴者に衝撃を与えたピョン・ギテ役を熱演[c]Netflix

今年公開されたNetflixオリジナルドラマ「ナルコの神」でも、脇役かと思いきや、どんでん返しを食らわす大活躍を見せてくれたチョ・ウジンを今後もずっと応援し続けたい。
(エディター・鄭智喜)

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