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映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネが与えた影響…タランティーノ作品や「ドクターX」まで!

コラム

映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネが与えた影響…タランティーノ作品や「ドクターX」まで!

「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」のテーマ曲は西部劇が原点!

クリント・イーストウッド主演映画『荒野の用心棒』
クリント・イーストウッド主演映画『荒野の用心棒』[c]Everett Collection/AFLO

米倉涼子主演の人気医療ドラマ「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」。同作にて大病院の権力に立ち向かう一匹狼、大門未知子の姿は、まさに西部劇のガンマンに通ずるものがあった。それを裏付けるように、颯爽とした未知子にぴったりだったテーマ曲「ドクターXのテーマ」は、マカロニウエスタンでのモリコーネの音楽をイメージして作られたとか。

音楽を担当した沢田完も、テレビ朝日の音楽番組「題名の無い音楽会」に出演した際(2017年1月8日放送)に、モリコーネによる『荒野の用心棒』のテーマ曲「さすらいの口笛」をイメージしたと語っている。

タランティーノがモリコーネに熱烈ラブコールした『ヘイトフル・エイト』

クエンティン・タランティーノ監督作『ヘイトフル・エイト』
クエンティン・タランティーノ監督作『ヘイトフル・エイト』『ヘイトフル・エイト』Blu-ray&DVD発売中 1,257円(税込) 発売・販売元:ギャガ[c]Copyright MMXV Visiona Romantica, Inc. All Rights Reserved. Artwork [c]2015 The Weinstein Company LLC. AllRights Reserved.

クエンティン・タランティーノも無類のマカロニウエスタン好きとして知られている。タランティーノは、『デス・プルーフ in グラインドハウス』(07)、『イングロリアス・バスターズ』(09)、『ジャンゴ 繋がれざる者』(12)など多数の監督作でモリコーネの楽曲を採用してきた。

そしてタランティーノがモリコーネにラブコールをしたかいがあって、『ヘイトフル・エイト』(15)にて、念願の2人によるタッグが実現。同作は、雪嵐によって山の上のロッジに閉じ込められた、ワケありの男7人と1人の女が繰り広げる騒動のゆくえを描く、タランティーノ監督、脚本による密室ミステリーだ。

クエンティン・タランティーノ監督作『ヘイトフル・エイト』
クエンティン・タランティーノ監督作『ヘイトフル・エイト』『ヘイトフル・エイト』Blu-ray&DVD発売中 1,257円(税込) 発売・販売元:ギャガ[c]Copyright MMXV Visiona Romantica, Inc. All Rights Reserved. Artwork [c]2015 The Weinstein Company LLC. AllRights Reserved.

ちなみにモリコーネは、2007年の段階で、すでにアカデミー賞の名誉賞を受賞しているレジェンドであり、アカデミー賞では6度も作曲賞にノミネートされていた。だが、『ヘイトフル・エイト』において、6度目にして初めて悲願の同賞に輝いたので、タランティーノの功績は非常に大きい。タランティーノは本作にも登場し、モリコーネへの愛を炸裂させている。

名匠モリコーネ、衝撃の告白をした過去とは?

モリコーネ自らが自身の半生を回想していくという心震えるドキュメンタリー『モリコーネ 映画が恋した音楽家』。タイトルどおり、モリコーネは映画から愛された音楽家である。しかし劇中では、モリコーネがかつて映画音楽の芸術的地位が低かったため、幾度もやめようとしたという告白もしており、現在の栄光を手にするまでの苦難の道のりもうかがい知ることができる。

ケビン・コスナー、ロバート・デ・ニーロ、ショーン・コネリー共演の『アンタッチャブル』
ケビン・コスナー、ロバート・デ・ニーロ、ショーン・コネリー共演の『アンタッチャブル』[c]Everett Collection/AFLO

それらが前述の作品をはじめ、『革命前夜』(64)、『夕陽のガンマン』(65)、『続・夕陽のガンマン 地獄の決斗』(66)、『ウエスタン』(68)、『死刑台のメロディ』(71)、『1900年』(76)、『天国の日々』(78)、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(84)、『ミッション』(86)、『アンタッチャブル』(87)、『Uターン』(97)『海の上のピアニスト』(98)など、傑作の名場面や、ワールドコンサートツアーの演奏とともにひも解かれていくのだ。

さらに、タランティーノをはじめ、クリント・イーストウッド、ウォン・カーウァイ、オリバー・ストーンら70人以上もの著名人によるインタビューによって、モリコーネの知られざる仕事術も明かされていくなど、映画ファン必見の一本となっている。


オーラ全開!モリコーネとクリント・イーストウッドというレジェンド2人のショット
オーラ全開!モリコーネとクリント・イーストウッドというレジェンド2人のショット[c]2021 Piano b produzioni, gaga, potemkino, terras

モリコーネのメロディを聴くだけで、あの日、あの映画に胸を高鳴らせ涙した瞬間が蘇るのではないだろうか。同じ時代を生きた私たちの人生を豊かに彩ってくれたマエストロに敬意を捧げるこのドキュメンタリーを、ぜひ映画館で観賞していただきたい。

また、オリジナル・コンピレーション盤『ENNIO MORRICONE』(発売中)や書籍「エンニオ・モリコーネ 映画音楽術」(発売中)、1月19日(木)に恵比寿・ブルーノート・プレイスで開催される公開記念イベントもあるので、映画とあわせてチェックしてみてはいかがだろうか。

文/山崎伸子

●オリジナル・コンピレーション盤『ENNIO MORRICONE』
発売日:1月11日(水)
品番:RBCP-3470 JAN:4545933134706 フォーマット:CD(2枚組) 価格:3,080円(税込)
発売元:ランプリング・レコーズ

●書籍「エンニオ・モリコーネ 映画音楽術 マエストロ創作の秘密――ジュゼッペ・トルナトーレとの対話」
著:エンニオ・モリコーネ+ジュゼッペ・トルナトーレ  訳:真壁邦夫
予価(本体3,000 円+税) ISBN: 9784866471846 四六/432ページ/並製 2022年11月30日発売

●『モリコーネ 映画が恋した音楽家』公開記念イベント
開催日時:1月19日(木)17:30会場  DJ : 18:00~close : 23:00 (L.O : 22:00)
場所:恵比寿・ブルーノート・プレイス(東京都渋谷区恵比寿4-20-4 恵比寿ガーデンプレイス
※Music Selector/TBA
※詳細は公式サイトまで:https://www.bluenoteplace.jp/

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