有能なヤツ大歓迎!“ベンチャー・スピリット”の塊な信長は、戦国時代のイーロン・マスク!?「コテンラジオ」ヤンヤンが語り尽くす

コラム

有能なヤツ大歓迎!“ベンチャー・スピリット”の塊な信長は、戦国時代のイーロン・マスク!?「コテンラジオ」ヤンヤンが語り尽くす

木村拓哉綾瀬はるかの共演で、織田信長と濃姫との知られざる物語を描く歴史超大作『レジェンド&バタフライ』がついに公開!本作の公式サイトとMOVIE WALKER PRESSでは、作品をより深く楽しむためのWEBマガジン「レジェバタ公記」を展開中だ。実際に映画を鑑賞した識者のリレーレビューに今回登場してくれたのは、歴史インターネットラジオ「コテンラジオ」のMC、ヤンヤンこと楊睿之(よう・えいし)氏。本作の主人公である信長の名前やその功績をなんとなく知っていても、実のところ、なにがそんなにスゴかったの?という疑問を持っている人も多いはず。そんな知っているようで意外と知らない“キング・オブ・戦国武将”について、学校の授業では学べない歴史のおもしろさをヤンヤンに教えてもらった。

【写真を見る】まさに戦国時代のイーロン・マスク!?“ベンチャー・スピリット”で時代を切り拓いた織田信長
【写真を見る】まさに戦国時代のイーロン・マスク!?“ベンチャー・スピリット”で時代を切り拓いた織田信長[c]2023「THE LEGEND & BUTTERFLY」製作委員会

「伝統的な価値観から傾(かぶ)いてしまった者同士がバチバチやり合うのがおもしろい」

映画『レジェンド&バタフライ』は誰もが知る信長の物語をこれまでとはまったく違う視点で描いているが、そんな本作を歴史のプロはどう観たのか?公開に先駆けて本編を鑑賞したヤンヤンに訊いてみると、「この題材で濃姫をフィーチャーしたところに新規性があるなと思いました」と瞬時に返ってきた。

「濃姫は史料があまり残っていない人物。戦国時代を舞台にしたゲームや小説では登場するんですけど、彼女を主人公レベルでフィーチャーした映画はなかなかないんです。しかも、織田信長の人格の一部を濃姫という人物を通して描いているところが新しい。例えばそれは、“桶狭間の戦い”に向けての軍議を信長と2人で行ったり、京への上洛のあと押しをしたりするところです。当時の女性はそういった話を夫とできる立場にはなかったですし、信長と濃姫が相談して決めたという記録も残っていないのでおそらくフィクションも入っていると思いますけど、そのあたりの構成が意表を突いていて、おもしろかったですね」。

歴史インターネットラジオ「コテンラジオ」のMCとして、歴史をおもしろく解説してくれるヤンヤンこと楊睿之(よう・えいし)
歴史インターネットラジオ「コテンラジオ」のMCとして、歴史をおもしろく解説してくれるヤンヤンこと楊睿之(よう・えいし)

映画の前半では、信長と濃姫が夫婦喧嘩する様子もコミカルに描かれるが、ヤンヤンはそんな2人の共通点にも着目する。「大友啓史監督と脚本の古沢良太さんは、信長と濃姫を“戦国時代のルールやセオリーから外れた似た者同士”として描くことを意識されたのかもしれませんね。濃姫の気が強いところや武芸が達者なところにそれが見て取れるし、彼女が『南蛮に行きたい』と、まるで自己実現を目指す現代人のような夢を語るところにもそれが表れていました。対する信長は、言うまでもなく反逆児。そんな伝統的な価値観から傾(かぶ)いてしまった者同士がバチバチにやり合いながら、共に時代を生き抜こうとするも叶わず戦国の世のシナリオに絡め取られて潰えていく。だとしても、2人の火花のような生き様が織りなす人と人とのありのままの情感が、いまの僕たちにも共鳴するような、時代を超えた普遍性のある物語に昇華していった描き方をおもしろく拝見しました」。

戦国の世の枠組みに収まらない生き方を望みながらも、結局はその時代に即して生きざるを得なかった信長と濃姫
戦国の世の枠組みに収まらない生き方を望みながらも、結局はその時代に即して生きざるを得なかった信長と濃姫[c]2023「THE LEGEND & BUTTERFLY」製作委員会

また、劇中で描かれる濃姫の“弓の上手さ”についても指摘する。「今川義元が海道一の弓取りと呼ばれたように、実は武士は刀以上に弓の実力が評価されていました。だから映画中で描かれた濃姫の弓の上手さが、彼女の中にある武士成分の濃さを正しく表現できているように思いますし、当時の武士の視点を踏まえたリアリティある演出です。女性ながら武士の基礎スキルである弓の強さを身につけている武者ぶりが、弓の腕がいまいちな信長の滑稽さとも相まって、彼女の異質さが強調されているように思います」。

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