恋愛嫌いな男女の壮絶バトル!キム・オクビン×ユ・テオのラブコメ「その恋、断固お断りします」がアツい
恋愛にまつわる微妙なムードを彩る怒濤のアクションと名曲の数々
本作におけるキム・ジョングォン監督のアプローチ法は 「アクションシーンも一つのロマンス」だった。劇中、アクション映画を撮影するガンホにアクション指導と代役を引き受けたミランの激しいアクションも、まるで二人のロマンスのように感じられるように演出し、ユニークな味わいだ。ロマンス、コメディ、アクションが融合したドラマはあまり前例がない。「武侠映画やノワールでは見せられない、アクション自体がロマンスというシーンを演出したかった。 だからこそ、主人公たちがアクションの練習をしながら気持ちが通じ、理解し合うようになる瞬間には特に気を遣った」とこだわりを強調した。
リュ・ヒョンサン武術監督は「スリラーやノワールではないため、俳優たちのアクションのスタートとゴールがいつもロマンティックでコミカルにつながるよう、ディテールにこだわった。 ラブストーリーに出たがらず、アクション作への出演を望むガンホを演じる上で、ユ・テオはトム・クルーズ、チャウ・シンチー、ドニー・イェンのようにスタイリッシュなアクションに時々コミカルなギャップを加えた。他方キム·オクビンは、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(22)のミシェル・ヨー顔負けなカンフーを見せる。参考にしたのは、チャールズ・チャップリンや『SPY/スパイ』(15)のメリッサ・マッカーシーの動き。こうして、奇抜で新感覚のアクションがデザインされた。 神経の行き届いたディレクションで、ストーリー、俳優、アクションが自然に三位一体となった。「時にはコメディーのようでいるが、プロローグはスリラーを思わせ、映画撮影のシーンはノワールの雰囲気を漂わせた力強いアクションに設定した」とリュ・ヒョンサン武術監督が予告する、絶妙にひねりが加えられたアクションシーンも楽しみにしたい。
恋のムードを盛り上げる音楽も、ドラマを華やかに盛り上げる。 韓国ドラマOSTのレジェンドとしていまも語り継がれている「宮~Love in Palace」の代表曲「Perhaps Love(もしかして恋なのかな?)」を歌ったバラードシンガーHowLが音楽監督を務め、「悲しい時に悲しい音楽、またうれしい時にうれしい音楽というのではなく、他の視点で見る努力をした」というコンセプト通り、ありがちな劇伴から脱却したサウンドがストーリーと不思議に調和する。 全体的な音楽コンセプトを捉えるために、アカペラチームと作業したHowL音楽監督は「エレクトロスイングに豊かなハーモニーを乗せて歌うととても新鮮な感じがした」と語り、本作ならではのサウンドトラックに対する期待感をあおった。 キム・ジョングォン監督も「HowL音楽監督のアカペラを取り入れた音楽のおかげで、新鮮さとコミカルな要素が一層増した」と満足げだ。さらに、(G)I-DLEミヨン&ウギによる「Sweet Dream」、NCTテイルの「Lovey Dovey」、NMIXXソリュン&リリー「The Moment/君に会った瞬間」などK-POPのトップアイドルたちが参加し、スウィートな美声で作品の完成度を高めた。
誤解と不信から真実の愛へ…恋する現代人を癒やすロマンティック・ラブコメディ
さらに、キム・ジョングォン監督は登場人物たちの姿を通して現代人の恋愛観を表現した。過去の苦痛を解消できず、誤解と偏見で凝り固まりお互いを牽制し合うミランとガンホに加え、それぞれの親友であり、“Some”(男女が付き合う前の微妙な距離感)を楽しむナウン(キム・ジフン)とウォンジュン(コ・ウォニ)の関係性も象徴的だ。拒絶し合ったり、自分も知らないうちに相手が心の内に染み込んでいたりという恋愛の絶妙なムードが漂うストーリーと、役者たちの繊細な感情が織りなすアンサンブルが視聴者の心をつかむ。
バレンタインデーを迎えた恋人たちの季節に、こんなロマンチックヒーリングコメディに浸ってみてはいかがだろうか。
文/荒井 南