「この役は私のもの」。マーゴット・ロビーが明かす、『バビロン』の扇情的ヒロインを熱望した理由
DCエクステンデッド・ユニバースのハーレイ・クイン役としても人気を誇るマーゴット・ロビーが、『ラ・ラ・ランド』(16)でアカデミー賞監督賞を史上最年少で受賞したデイミアン・チャゼル監督最新作『バビロン』(公開中)で、新人女優のネリー・ラロイ役を熱演。彼女が演じた華やかでコケティッシュな魅力全開のネリーは、観る者の心を捉えて離さない。本作の脚本を手にしたロビーは「絶対にやらないと。この役は私のもの」と、前のめりに参加したそうだ。
『バビロン』の舞台は、サイレント映画からトーキー映画へと移り変わるゴールデンエイジ(黄金時代)と呼ばれた1920年代ハリウッドで、富と名声を貪欲に求める夢追い人たちがあふれかえっていたゴージャスでクレイジーな時代。ネリーや、青年マニー(ディエゴ・カルバ)もその世界に魅了され、足を踏み入れていくが、そこでサイレント映画のトップスター、ジャック(ブラッド・ピット)と出会い、運命が大きく動きだす。
「アウトサイダーでありながらも、自分の居場所を見つけることができる。それがハリウッドのよさでもある」
チャゼルは、ロビーのキャスティングについて「恐れを知らない役者が必要でした。まるでスクリーンを両脇から掴んで揺さぶり、やりたいようにやれる役者が。それが僕にとってはネリーであり、そしてマーゴットでした」と語っているが、その期待にロビーは見事に応えた。出演が決まるとロビーはチャゼルやプロダクション・チームと同様にリサーチに没頭。ネリーのキャラクターは、サイレント映画時代に活躍した数多くのスターからインスピレーションを得ているが、ロビーがネリーを理解するうえで助けとなったのは、同時代のセックス・シンボルだった女優クララ・ボウの過酷な人生だった。
「クララ・ボウは、私がこれまで聞いたなかで、おそらく最もひどい子ども時代を過ごした人です」と、ボウが貧しい境遇で受けたトラウマや虐待に言及するロビー。「クララの両親は彼女のために出生証明書を取得しませんでした。すでに2人の子どもを亡くしていて、彼女も生き長らえると思わなかったから。それを読んだ時、ネリーというキャラクターを理解できるようになりました。この地球で過ごす日々はいつ終わってもおかしくないと感じていたから、毎日全力で立ち向かっていたのだと想像できました」。
ネリーは、ハリウッドの大物たちが集うパーティ会場へやってくるが、招待状なしでは、彼女の魅力を持ってしても警備を突破することはできかった。そんな彼女に給仕として働いていたマニーが目を留め、自分の弱い地位を危険に冒しながらも、彼女と屋敷の中に入り込む。
「マニーはメキシコ出身で、ハリウッドに進出しようとしているけど、ネリーのような人よりも、さらに超えなければならないハードルは高かったはず。でも、2人共アウトサイダーだから、お互いを見つけ合うことができたと思うし、それがハリウッドのよさでもあります。アウトサイダーでありながらも、そこに自分の居場所を見つけることができるんです」。
キャスティングはコロナ禍で行われたため、ロビーはマニーを演じたカルバとの顔合わせを、Zoomを通して行わなければならなかった。「Zoom上でケミストリーを測ることは本当に難しかったです。でもやるしかないと。それから実際に会うことができて、顔を合わせてみると、彼はマニーで、私はネリーだとはっきりとわかりました。もちろん、彼らはお互いを見つけることができるはずだと思っていましたが。ディエゴはすばらしい俳優で、この映画が公開されたら、彼は世界を熱狂の渦に巻き込むことになりそうです」。