やっぱり『タイタニック』のレオナルド・ディカプリオは最高だ!若き美青年時代から振り返る、これまでの軌跡
1997年に公開され、いまも日本歴代洋画興収No.1に君臨する不朽の名作『タイタニック』(97)が、4Kリマスターされた『タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター』として公開中。本作でハリウッドのトップスターとして名を挙げ、世界中の人々を虜にしたレオナルド・ディカプリオもいまや48歳。貫禄の出てきたディカプリオもいいのだが、映像に残る“紅顔の美少年”だったころの彼は、唯一無二の輝きを発していた。そこで今回は、若き日の麗しいディカプリオを、『タイタニック』を含めた初期の出演作と共に振り返っていく。
「レオマニア」を生みだした名作中の名作『タイタニック』
豪華客船タイタニック号を舞台に、ディカプリオ演じる画家志望の貧乏青年ジャックと、上流階級の令嬢ローズ(ケイト・ウィンスレット)が身分違いの恋に落ちる本作。2人のロマンスを軸にしつつ、後半で怒濤のごとく大型客船の沈没シーンが展開されていく本作は、194分という長尺ながらも一切長さを感じさせない。観る者をくぎづけにし、最後には感動の嵐に包まれ、むせび泣きしたという人も多い。
公開直後から各国で絶賛され、SNSのなかった時代、クチコミの倍々ゲーム的に興行を伸ばした本作で「レオマニア」が続出。日本でも「レオ様」フィーバーが起き、あちこちのメディアが映画の魅力を報じて、まさに『タイタニック』は社会現象となった。
特に、セリーヌ・ディオンの主題歌「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」が流れるなか、ジャックとローズがタイタニック号の船首に立ち、ローズが両手を広げるシーンは、映画史に残る名シーンだ。ローズがジャックに「私、飛んでるわ」と興奮しながら言うくだりに思わずうっとり。ここでのロマンティックな2人のキスシーンにも酔いしれた。後日談として、ディカプリオは、映画におけるキスシーンで最高だったのは、同作でのケイトとのシーンだったと語っている。
当時、いろんな映画やドラマで、このシーンのパロディが流行ったし、観光船に乗ると、カップルがそのシーンの再現にいそしむという痛々しい、もとい微笑ましい画を目撃することもあった。でも、その気持ちはわからなくもない。当時、「この映画を意中の人と観にいけば、必ず落とせる!」といったことを、鼻息を荒らくしながら語る著名人が何人かいた。筆者の周りでも実践している男女が数組いたが、その後まんざらでもない結果報告を受け、映画の力にうならされた。
確かに本作を観ると、ジャックとローズに感化され、2人のような運命の恋をしてみたいという妄想が風船のように膨れあがる。また、エモーショナルなキスシーンだけではなく、狭いシチュエーションで若い2人が求愛しあうシーンも忘れられない。
そう、タイタニック号船内の車庫に駐車された他人の車のなかで結ばれた2人。そのシチュエーションを現代的に言い換えれば「カーセックス」なのだが、その描き方がすばらしい。熱気むんむんとなった車の窓ガラスがくもり、盛り上がりすぎて、うっかり手形を残してしまうというシーンは、映画を観にきた恋人たちをその気にさせたに違いない。
ジャック役に乗り気でなかった?『タイタニック』キャスティング秘話
さて、ディカプリオの話に戻すが、ジェームズ・キャメロン監督によると、ディカプリオにジャック役をオファーした際には、あまり興味を示さなかったとのこと。キャメロン監督は当時を振り返り「最近、『レオはこの映画をつまらないと思った』という記述を目にしましたが、それは間違いです。彼は、この映画をつまらないとは思っていなくて、映画自体はクールだと思っていたんです。ただ、(ジャック役を)チャレンジしがいのある役ではないと思ったのです。彼は当時、難しい役を求めていたので」とその理由について話す。
キャメロン監督は、当時のディカプリオが、『ギルバート・グレイプ』(93)の知的障がい者役や、『バスケットボール・ダイアリーズ』(95)で麻薬依存の少年役などを演じていたことを例に挙げ「彼は、なにか問題を抱えたキャラクターを好みます。怒りをぶつける対象があるような役をね。でもこの映画の脚本にそれはなかったし、わかりやすい問題も出てきません。むしろ彼は、ローズよりも精神的に大人です。彼は愛を通じてそこをローズにも分けてあげるので、ローズは成長します。だからジャック役を演じるのって実は難しいのだと、私はレオに言いました。そう説得して、ようやく彼は興味を持ってくれるようになりました」とプロセスを語った。
もちろんそのあと、ディカプリオは出演を決めたわけで、キャメロン監督は本作のキャスティングについて「すばらしい幸運を得ました」と喜びも語っていた。