やっぱり『タイタニック』のレオナルド・ディカプリオは最高だ!若き美青年時代から振り返る、これまでの軌跡
ラジー賞を経て栄冠を手に!『仮面の男』から『ワンハリ』まで
そして『タイタニック』は見事な結果を出す。第70回アカデミー賞で『イヴの総て』(50)と並ぶ最多14部門にノミネートされ、『ベン・ハー』(59)と並ぶ単一作品での歴代最多受賞作となった。ところが、当時ディカプリオは、主演男優賞にノミネートすらされなかったことも話題を呼んだ。
ちなみにディカプリオは、『ギルバート・グレイプ』で19歳にしてアカデミー助演男優賞にノミネートされ、『ロミオ&ジュリエット』(96)でベルリン国際映画祭の銀熊賞(男優賞)を受賞するなど、すでに“演技派若手俳優”として認知されていた。そういう意味で、『タイタニック』のジャック役は、キャメロン監督が言うように、「なにか問題を抱えた」わかりやすい役ではなかったゆえに、スルーされてしまったのかもしれない。
また、『タイタニック』での栄光が強すぎて、翌年公開された『仮面の男』(98)は割を食い、最低映画を決めるゴールデンラズベリー賞のワースト・スクリーン・カップル賞受賞という不名誉を被っている。確かに映画の評価はかんばしくなかったが、当時は才能にあふれる彼へのやっかみも半分入っていたのではないか。
その後のディカプリオの活躍は周知のとおりで、レオマニアたちは、ずっとディカプリオを愛し続けたし、なによりもマーティン・スコセッシやバズ・ラーマンなどの名監督と組み、毎回闘魂を見せる彼の熱きマインドが、多くの映画ファンを魅了してきた。だからこそ、ようやくアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作品『レヴェナント:蘇えりし者』(15)で、悲願のアカデミー主演男優賞を受賞した時、多くのファンが安堵したのだ。
俳優としてのキャリアを重ね、いろんなところに厚みが出たいまのディカプリオもすてきだと思う。ブラッド・ピットと共演した『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(19)では、変わらぬオーラと魅力を発揮していたのも記憶に新しいところだ。ただ、やはり『タイタニック』におけるジャックは特別であり、いま観返しても尊すぎるのだ!
繰り返すが、現在『タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター』が公開中なので、この期を逃す手はない。『タイタニック』が公開された1997年、青春時代真っ只中だった大人の方々、そのころはまだ子どもで、愛がなにかも知らなかったけど、いまは大人になった方々、そしてテレビ放送や配信でしか本作を観たことがないというZ世代やお子さんたち、すべての皆さんに声を大にしてお伝えしたい。「本作こそ、スクリーンで観るに値する映画です!」と。
文/山崎伸子