温泉はハレ、銭湯はケ…生田斗真と小山薫堂が『湯道』で感じた、人を繋ぐ“お風呂”の話
継承すべき日本文化は、お茶、生け花、書、そして「入浴」!?なるほど「入浴」は、日本ならではの習慣として長く親しまれてきた伝統文化と言えよう。それを茶道、華道、書道と並べ、「湯道」として提唱してきたのが、ご当地キャラの代表格「くまモン」の生みの親であり、かの『おくりびと』(08)の脚本家として知られる小山薫堂だ。彼が2015年より提唱し始め、今や家元として愛情を注いで追求する「湯道」をテーマに、完全オリジナル脚本での映画『湯道』(公開中)が実現した。「HERO」「マスカレード」シリーズを手掛けるヒットメーカー、鈴木雅之が監督を務める。
東京で建築家として活躍しているはずの長男・史朗が、弟・悟朗が亡き父から継いだ銭湯「まるきん温泉」に舞い戻ってきた。番台に立つ看板娘を巻き込みながら「まるきん温泉」を間に反発し合う兄と弟と、お風呂や湯を巡る人間模様が繰り広げられる…という“お風呂エンタメ”である本作。銭湯を否定しつつ、“お風呂”に魅せられていく史朗を演じた生田斗真と、「湯道」を立ち上げた小山に、本作の誕生秘話、そして湯道の醍醐味を語ってもらった。
「生田さんと岳くんは本当の兄弟みたいな感じがしたんです」(小山)
――複雑な気持ちや事情を抱えている史朗を演じた生田さんを、小山さんはどのようにご覧になられましたか。
小山「生田さんって、非常にコミカルな感じをいやらしくなく演じられるのがスゴイな、と思っていました。笑わせようというのではないけれど、結果として笑ってしまうような。今回の史朗も、言動からすると本来はイヤな奴のはずが、イヤな奴に見えないというか。根はいい子だったのに都会で暮らしているうちに擦れてしまった部分がある、でも本当はいい人、という雰囲気を上手く出されていたと思います」
――小山さんから、こんな人物だとか、こう演じてほしいなどの要望はありましたか?
生田「そういうお話はありませんでしたが、代わりに湯道具をいただきました。薫堂さんが作られている湯道具がいくつかあるんです」
小山「青と赤のタオルがあって、青タオルが入門用。でも赤タオルは湯の道を極めし者用なので、なかなかあげられないんです。プロデューサーや監督には、青タオルをあげました。そうしたら監督が『いつ赤がもらえるの?』と聞いてきて(笑)。赤はこの作品が終わった時ですねと伝えたら『じゃあ俺、赤を目指して頑張る』と言っていたんです。ところが生田さんには、クランクインする約1年前、確か出演が決まった時にお会いして、赤タオルをあげたんです」
生田「僕は何も知らずに赤をいただいて…」
小山「価値を知らないままでしたが、“マスターになってほしい”という気持ちであげました。だって主役ですから(笑)。そうしたら監督にそれがバレて、『なんで俺より先に……』と。“まだ彼は、風呂のことわかってないでしょ。俺ここまでわかっているんだよ。このセット見てよ!”みたいな(笑)。それで赤を差し上げました」
――弟の悟朗役には濱田岳さん、看板娘のいづみ役には橋本環奈さん。3人の掛け合いのおもしろさや、3人だからこそ出せた味など、感じたことを教えてください。
生田「岳くんも環奈ちゃんも本当の弟と妹みたいな感覚になれたのは、すごく大きかったです。岳くんから僕を“お兄ちゃん”と呼んできてくれて。2人とも、スタッフに愛され、かわいがられている姿がとても印象的でした。前向きないいエネルギーを常に発してくれる2人でしたね。空き時間も脱衣所で、よく3人で話していました。演技的には、いつもと少し違う“堅め”な弟でしたね。史朗はのほほんと目の前のことに向き合おうとしない兄だったので、その対比もとても楽しくやれました」
小山「僕は岳くんと10年ぐらい一緒に番組をやっていて、よく知っているだけに、あまり似ていない2人が血を分けた兄弟に成りえるかな、と少し思っていました(笑)。でも現場を見た時、本当の兄弟みたいな感じがしたんです。橋本環奈さんも含め、とにかく楽しそうで。現場がすごく生き生きしていて、“この作品は成功するな”というオーラを感じました。本当に血の繋がりがある2人と、そこに巻き込まれた1人という感じがとてもしました」
ジャケット:6万円(税抜)、パンツ:3万4000円(税抜)
semoh(セモー) 問い合わせ先:ビューローウエヤマ 03-6451-0705
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