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仮設トイレ、エレベーター、棺…映画で描かれたトンデモなシチュエーションからのサバイバル劇

コラム

仮設トイレ、エレベーター、棺…映画で描かれたトンデモなシチュエーションからのサバイバル劇

地上500mのエレベーターが急降下!…『アクセル・フォール』

地上500mの高層ビルのエレベーターでのサバイバルを描く『アクセル・フォール』
地上500mの高層ビルのエレベーターでのサバイバルを描く『アクセル・フォール』[c] Samuel Goldwyn Films / Courtesy Everett Collection

多くの映画のシチュエーションとなってきたのがエレベーター。富を象徴する超高層ビルのエレベーターが止まったことで、老人から子どもまで乗り合わせた9人の化けの皮が剥がれていくというアメリカ社会への皮肉を含んだ『エレベーター』(11)や、ナオミ・ワッツ主演で暴走するエレベーターの恐怖をケレン味たっぷりに描く『ダウン』(01)など、テイストの異なるユニークな作品がいくつも作られてきた。

そんなエレベーターパニックの直近作は、オーストラリア映画の『アクセル・フォール』(21)だ。地上500mのエレベーターに、目隠し&手足を縛られた状態で監禁された女性アリア(シャーロット・ベスト)が、同じく謎の組織に捕まり拷問を受けている父親を救うべく奮闘するというストーリーが繰り広げられる。

エレベーターの骨組みを生かしたスリリングな描写も(『アクセル・フォール』)
エレベーターの骨組みを生かしたスリリングな描写も(『アクセル・フォール』)[c] Samuel Goldwyn Films / Courtesy Everett Collection

地上500mから急降下し、そして急停止するエレベーターの天井や床にアリアが叩きつけられたり、骨組みにしがみついたかと思えば、顔面すれすれを猛スピードのエレベーターが通過したり…と、設定をフル活用したスリリングな映像も必見だ。

車上荒らしなんてしなければよかった…『4x4 殺人四駆』

車から脱出できないというレアな題材を扱う『4x4 殺人四駆』
車から脱出できないというレアな題材を扱う『4x4 殺人四駆』[c] Red Hound Films / Courtesy Everett Collection

4×4 殺人四駆』(18)は、車上荒らしで押し入った車に閉じ込められてしまった男を待ち受ける運命を描いた1作。カーステレオを盗もうと街角に停まっていたSUV車に乗り込んだものの、なぜか鍵がかかり中に閉じ込められてしまった強盗のシロ(ピーター・ランザーニ)。中からガラスを割ろうにも防弾のためびくともせず、そのうえフルスモークで防音仕様、助けを求める声もまったく外には届かない。食料も水もなく衰弱していくなか、突如車のオーナーから電話がかかってきて…。

主人公のシロは飲み食いできない状態に疲弊し…(『4x4 殺人四駆』)
主人公のシロは飲み食いできない状態に疲弊し…(『4x4 殺人四駆』)[c] Red Hound Films / Courtesy Everett Collection

謎の人物の登場により、物語がグッと動きだすシチュエーションスリラーのツボを押さえた予想不能な展開や、遠隔操作によって車が暴走したり、エアコンから冷気が出て凍えそうになったりといった描写もユニーク。車から出られないというなかなか珍しい設定は一見の価値ありだ。

公衆電話への着信にはご用心…『フォーン・ブース』

電話ボックスで繰り広げられる会話劇がスリリングな『フォーン・ブース』
電話ボックスで繰り広げられる会話劇がスリリングな『フォーン・ブース』TM & Copyright [c] 20th Century Fox Film Corp. All rights reserved.

いまでは見ることが少なくなった電話ボックスを舞台にした1作が、ジョエル・シュマッカー監督による『フォーン・ブース』(03)。コリン・ファレル扮する主人公が、公衆電話にかかってきた1本の電話をとったことから追い詰められていく様子が描かれる。


通話を終えたばかりの公衆電話にかかってきた着信につい出てしまったやり手コンサルタントのスチュ(ファレル)。その電話はなにやら自分を知る者からで、しかも「電話を切ったら殺す」と脅されてしまう。銃でねらわれていることをほのめかされ、電話ボックスから出られなくなってしまったスチュは、次々とトラブルに巻き込まれることになり…。

口先だけで生きてきた業界人の男をコリン・ファレルが演じている『フォーン・ブース』
口先だけで生きてきた業界人の男をコリン・ファレルが演じている『フォーン・ブース』TM & Copyright [c] 20th Century Fox Film Corp. All rights reserved.

物理的に出られないわけではないが、電話ボックスの“あるある”とも言える長電話に対する順番待ちをしている人からの文句がまさかの方向に発展していくという展開や、81分間ほぼしゃべりっぱなしならではの会話の妙味など、電話ボックスというシチュエーションを生かした飽きさせないつくりは、さすがシュマッカー監督というべき1作だ。

今回紹介した作品以外にも、ATMを舞台にしたその名も『ATM』(12)や、極寒のスキー場のリフトでのサバイバルを描いた『フローズン』(10)、医療ポッドの中が舞台の『オキシジェン』(22)、海中深くに沈んでしまったサメ観賞用の檻が舞台の『海底47m』(16)など、ユニークなシチュエーションの作品は多数ある。気軽に観られる一方、意外にも社会的なメッセージを孕んだものもあったりと、胸に残る作品も多いので、ぜひチェックしてみてほしい。


文/サンクレイオ翼

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