「いい意味で思ってたのと違った!」映画ファンレビューからひも解く、スピルバーグが『フェイブルマンズ』に込めた情熱と愛
主演女優賞にノミネートされた、母親役のミシェル・ウィリアムズが白眉!
本作で母親役を演じるのは『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(16)などで知られるミシェル・ウィリアムズで、本作にてアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされた。その演技については「ミシェル・ウィリアムズの存在感がハンパない。終盤までほぼ主役」「ミッシェル・ウィリアムズの奔放でチャーミングな母親役が印象的!」とその存在感を称える声のほか、夢へと邁進する息子の背中を押す役どころに共感し、心を打たれたという声が相次いだ。
「ミシェル・ウィリアムズ演ずる母親が見せてくれた愛の強さ、母と子のきずなの深さでした。生来の芸術家気質を心の裡に封じ込めて夫に連れ添ってきた彼女が、『良き妻/母』『ひとりの女性』『唯一無二の芸術家』というそれぞれの狭間で葛藤しながらも、自らの人生を選択していく姿に心揺さぶられ、思わず涙があふれたのです」
「心のままに生きなさい。そう教える母親ミッツィが印象的で、それを演じたミッシェルをはじめ、役者たちの演技もすばらしかったです」
「この映画を観てどうしてスピルバーグという天才が生まれたのかなんとなくわかった。なんと言っても芸術家肌で自由奔放な母親の影響が大きい」
「『物事が起こるのにはすべて理由がある。』と母親が言うのが印象に残る」
いまを生きる私たちへのエールをくれる人生讃歌
スピルバーグ監督が「人生の出来事、そのひとつひとつが映画になった」と語っているが、まさにいろいろなハードルを乗り越え、それでも夢を諦めなかった少年がたどり着いた境地に、多くの人が心を鷲づかみにされたよう。世界的パンデミックを経て、多くの人々が生きる希望や夢を求めているいま、本作はきっと明日を笑顔で迎えるためのヒントをたくさんくれるのではないだろうか。最後に観終わった方々が、スピルバーグ監督から受け取ったエールやメッセージ、熱い想いをご紹介する。
「自分らしくあることへの犠牲と覚悟…スピルバーグ監督から、いまこの時代に“表現”しようとするすべての人たちに向けてのエールでした」
「観終わったあとの余韻に、心温まるストーリー、スピルバーグ監督から夢を抱くすべての人に、すてきなプレゼントでした!」
「人生は思うようにはいかないこともあるけれど、一瞬一瞬の時間、一つ一つの出来事すべてに意味があることを気付かせてくれる、とってもすてきな作品」
「酸いも甘いもそれが人生なのはその通りなんだけど、70代後半にさしかかった今だからこそ冷静に振り返り、彼なりに映画作品として1本につないだことにすべての価値があった」
「出会って、別れて。繰り返しながら進んでいく人生。その時々の感情を凝縮した映画でした。寄り添ってくれた人も、突き放してきた人も。すべての出会いと別れに、物語がある。映画に人生を捧げる覚悟は、優しく強い支えと共に歩き出す」
映画監督になる夢を叶えたスピルバーグの原体験を描く『フェイブルマンズ』に「再鑑賞したくなる愛おしい映画」と感情を揺さぶられた人々が続出。胸を熱くさせる巨匠の原点から、本作に込められた映画愛をぜひ感じてほしい。
構成・文/山崎伸子