【ネタバレあり】グローグーの出番激減!?それでもすごい展開に!「マンダロリアン」シーズン3第3話をレビュー
今回のサブタイトルに込められた、“新展開”への布石
が、この違和感以上の出来事が起きるのがそのあと。秘密裡にクローン研究を続けるための道具を、廃棄されたスター・デストロイヤー(!)に取りに行ったパーシング博士はケインに裏切られ、新共和国の警察に捕まり緩和装置にかけられる。ケインは新共和国のアムネスティ計画(?)の成功例と賞賛されるが、実はもうひとつ思惑があり、実は帝国の手先だったという二転三転の展開。
これまで、どちらかというとのんびりしていた印象だったシリーズがここにきて新しい顔を見せ始めたと言っていい。しかもそれは、まだまだ力と野心がある帝国の残党の存在と、新共和国のもうひとつのダークな側面にかかわる物語?陰謀や政治が渦巻き、ひと言で言うと規模がでっかくなって行く⁉そして、それにどうディン・ジャリン&グローグー、マンダロリアンたちが絡むのか。
冒頭のマンダロア星の泉で、マンドーは伝説の怪物ミソソーと遭遇しているようなのだが、このミソソーは「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」のなかで新時代を告げる怪物として名前が登場している。
今回のサブタイトル「THE CONVERT(=転向、改宗の意)」にはこの新展開が込められているに違いないように思う。
もうひとつ。「マンダロリアン」の舞台はほぼアウターリムの星ばかりで、コルサントは今回が初めて。しかも、パーシング博士がスピーチをするのは懐かしいギャラクシーズ・オペラ・ハウス。『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(05)で初登場した建物だ。また、パーシング博士とケインが一緒に歩くモニュメント・プラザには、コルサントでもっとも高い山であり、唯一目に出来るという地表、“ウメイトの山頂”が出てくるが、この名前は本作で初めて明らかにされたと思う。
グローグー・ファン的には活躍の場が少なくて残念ではあったが、大きなサプライズがあった。ディン・ジャリンとボ=カターンが「我らの道」といつもの合言葉を言い合っている時、グローグーもそれに加わり、彼なりに同じ言葉を口にする(ように聞こえる)。
ということはつまり、ここでグローグーはマンダロリアンとして生きることを誓ったと考えられるではないか!
やはりこの第3話、あらゆる意味で「転向」のエピソードなのである。
最後にスタッフについて記しておこう。今回の監督は、アメリカで健気に生きる韓国人の移民ファミリーを描きアカデミー賞に多数ノミネートされた『ミナリ』(20)の監督リー・アイザック・チョン。そしてカメラは「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」も担当した「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ等の大ベテラン、ディーン・カンディ。
シリーズのターニングポイントとなるエピソードにふさわしい豪華なスタッフが顔を揃えている。
文/渡辺麻紀