上野樹里、「のだめカンタービレ」で初舞台!ミュージカルで“のだめ”を演じることは「想像もしていなかった」
大人気コミック「のだめカンタービレ」が初めてミュージカル化され、今年10月にシアタークリエにて上演される。3月20日に東京都内で取材会が開催され、上野樹里がのだめ役、三浦宏規が千秋役を演じることが発表された。これまで実写ドラマ&映画でのだめを演じてきた上野は、「のだめとして、皆さんとまた再び会えるといいなと思います」とうれしそうな笑顔を見せた。
大人気コミックの枠にとどまらず、ドラマ、アニメ、映画などあらゆるメディアミックスを展開してきた「のだめカンタービレ」が、初めてミュージカルとなって登場する。原作は2001年より、月刊「Kiss」(講談社)にて連載を開始すると瞬く間に人気となり、2004年には第28回講談社漫画賞少女部門を受賞。累計発行部数は3900万部を超えた不朽の名作。2006年〜2008年には上野が“のだめ”こと野田恵を演じたテレビドラマが放送され、2009年と2010年には劇場版が公開された。落ちこぼれながら天才的なピアノの才能をもつ音大生のだめと、同じ大学に通うエリート音大生で指揮者を目指す千秋真一が出会い、成長していく物語だ。
ドラマ、劇場版で変わり者であるのだめを生き生きと演じて、高い評価を受けた上野。自身にとって初ミュージカル&初舞台となる本作で、再びのだめ役を演じることになった。大きなチャレンジとなるが、決意するきっかけとなったのは原作者の二ノ宮知子との会話だったという。
上野は「ラジオを始めた時の第1回目のゲストが、二ノ宮知子さんで。ちょうど『のだめ展(のだめカンタービレ展)』を開かれていたので、ラジオ収録の前に『のだめ展』の取材をしている時に、『今度舞台をやるんだよね』という話を聞いて。『え!ちょっと興味あるんですけど』というところから、いまに至っているという感じです」と志願した日のことを思いだしながら、にっこり。展示会の見学もしたそうで、「壁に漫画が描かれていて、それを見ながらそこのシーンの曲を聴くと、いまでものだめが音楽と共に蘇ってくるというか、生き続けている」と「のだめ」は切っても切り離せない存在である様子。「オケの人たちと一緒に、息を合わせてお芝居を作っていくということも、未知の世界」と新たな世界に飛び込むことになるが、上野は「『のだめがカンタービレすると、どんなふうに歌うの?』ということもちょっとおもしろいなと思って、挑戦してみようかなと思いました」とミュージカルとして登場するのだめに、自身もワクワクしているという。
いまでも街中で、「のだめカンタービレ」のファンだという人から声をかけられることもあるという。上野は「私自身の青春時代。初めて連ドラの主役をやらせていただいたのが『のだめ』」と振り返りながら、「長期にわたって関わることができて、まさかいまになっても、また別の形でのだめをやることになるとは、誰も想像していない。私も想像していなかったです」としみじみ。「DVDなどで何度も観てくださっているファンの方が、『生ののだめがいる』となるとうれしく思ってくれたりするのかなと思って」とファンの存在にも背中を押されたといい、大学生役を演じることにも「舞台はその(役柄の)リアルな年齢じゃなくても演じられる。それもまた挑戦かなと思って。のだめとして、皆さんとまた再び会えるといいなと思います」と期待を寄せた。
千秋を演じるのは、全国バレエコンクール入賞を経て、2019年に史上最年少で「レ・ミゼラブル」のマリウス役を射止め、その後も話題作に立て続けに出演している三浦宏規。「大好きな作品」という同作で大役を担うこととなった三浦は、「まさかでした」と口火を切り、「ミュージカルになるんだということにも驚きましたし、まさかあの大好きな作品の千秋先輩に自分がなるなんて、夢にも思っていなかったです。しかも上野さんが、のだめをやられるということで。本当にうれしいですし、発表されたらびっくりされると思うんですが、怖いです」と苦笑い。「玉木さんじゃないんかい!って言われそう」とドラマ、劇場版で千秋役を演じた玉木宏に触れて、会場の笑いを誘った。三浦は「大役なので、皆さんの期待を裏切らないように、千秋先輩という役を務められるよう、ご迷惑をかけないように精一杯頑張りたい」と意気込んだ。
会場には、原作者の二ノ宮知子からのメッセージが届けられた。メッセージには「私は原作者は作曲者みたいなものだろうと思っています。私が描いたのだめカンタービレという曲が、アニメ、ドラマから、今度は舞台という新しいステージで、演出する方々が指揮者となり、ソリストである役者さんたち、舞台を作り上げる多くのスタッフさんが一丸となって、また新しい演奏を聴かせていただけるのだと、とてもワクワクしております。そして天才的のだめソリストの上野樹里さんと、舞台で大活躍中の三浦宏規さんの、新しいのだめと千秋が見られるのが本当に楽しみです!皆さま、どうぞ自由に、楽しく頑張ってください!」とエールが込められていた。
「すてきなコメント」と感謝した上野は「ソリストかぁ」と二ノ宮の言葉をかみ締め、「二次元の世界である漫画やアニメだとまた違うのだめの表現があって。私の『ぎゃぼー!』の言い方はあれでよかったのかな?とか思うんですが(笑)、でもそうなっちゃうんだからしょうがない」と笑顔。「今回も三浦くんと共演して、自然に醸しだされるのだめを演じられたらと思います。三浦くんや監督の上田(一豪)さんも信頼できる方たちなので、いろいろとお世話になります。千秋先輩についていきます」と三浦に信頼を寄せると、照れ笑いを見せた三浦は「“自由に楽しく”という言葉がすごくうれしい。二ノ宮先生に舞台版も成功したと思ってもらえるように、頑張りたい」と力強く語っていた。
演出は、「笑う男」「四月は君の嘘」「ファースト・デート」など様々なジャンルを手がける上田一豪。またNHK交響楽団首席オーボエ奏者を経て現在は指揮者として活躍、「生で聴く のだめカンタービレの音楽会」で企画・指揮を務める茂木大輔が、クラシック音楽監修を務める。
取材・文/成田おり枝