都市ボーイズが体感！シャマラン監督最新作『ノック終末の訪問者』に散りばめられた、都市伝説的モチーフ

『シックス・センス』(99)、『スプリット』(16)などで世界中に熱狂的なファンを持つM・ナイト・シャマラン監督の最新作『ノック終末の訪問者』(4月7日公開)。愛する家族の犠牲か、世界の終焉か。「究極の選択」をテーマに家族愛と恐怖が入り混じる“終末スリラー”を、都市伝説や怪談、オカルト話に精通する2人組の怪奇ユニット、都市ボーイズはどう受け止めたのか。2人がそれぞれの視点で解説するインタビューを、前後編でお届けする。

前編では陰謀論に精通する岸本誠が、本作に散りばめられたオカルトチックなポイント、都市伝説好きの心をくすぐる描写などに触れつつ、見どころを語ってくれた。

【写真を見る】4人の訪問者が武器を持ってやってくる…新たな恐怖に満ちた『ノック終末の訪問者』[c] 2023 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

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人里離れた森の奥深くにある山小屋で穏やかな休日を過ごしていたエリック(ジョナサン・グロフ)とアンドリュー(ベン・オルドリッジ)、その養女であるウェン(クリステン・キュイ)の一家。そこへ突如武装した見知らぬ男女4名が訪れ、家族は訳もわからぬまま強制的に囚われの身となってしまう。愛する家族一人の犠牲か、世界の終焉か、と耳を疑う選択を迫られることとなった一家は、テレビに映る世界各国で起こり始めた甚大な災害を目の当たりにするが、そんな話をすぐに信じられるはずもなく、疑心暗鬼に陥っていく。はたして彼らの語る内容は真実なのか、その真の目的とは？

「カメラアングルと音だけで恐怖を作りだすスタイルは、流石シャマラン監督！」

放送作家として活動する傍ら、YouTubeやイベントで怪談を披露し、近年ではテレビ番組にも出演するなど精力的な活動でファンを増やしている都市ボーイズ。2人ともシャマラン監督の作品には多数触れてきたとのことで、都市伝説的モチーフが多く見られる本作に対する期待も大きかったようだ。

本編鑑賞後、開口一番に「予告とはだいぶイメージが違った」と話した岸本は、前作『オールド』(21)同様、ワンシチュエーションへのこだわりが気に入ったと笑顔。「シンプルにシャマラン監督らしい映画で、非常におもしろかったです。カメラアングルと音だけで緊張感と恐怖を作っていくシャマラン監督は、やはり剛腕だなと感じました。大御所であるにもかかわらず、アイデアとセンスで撮るスタイルは、本当にすばらしいです！」と感想を語る。

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのデイヴ・バウティスタや「ハリー・ポッター」シリーズのルパート・グリントらが、4人の侵入者を演じる[c] 2023 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

ストーリーに関しては「『家族か、世界か』というテーマを知った時から、絶対ハッピーエンドはないなと覚悟していました。だって、選択に救いがないじゃないですか(笑)。愛する家族か全人類、どっちを取るのがいいのかを観客にも迷わせながら引き込んでいくスタイルで、ギリギリまでどっちを取るのかがわからない状況を作る。その引っ張り方はすごいと思いました」とかなりお気に入りの様子。

「究極の選択」をテーマに家族愛と恐怖が入り混じる“終末スリラー”[c] 2023 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

哲学者のフィリッパ・ルース・フットが提唱した「トロッコ問題」と通じるテーマを感じたという岸本は「この世界情勢のなかで哲学的な内容を突きつけてきたのもシャマラン監督の皮肉っぽさを感じ、すごく気になりました。人生は選択の連続と言うけれど、今後の世界で命を左右するような選択が増えていくこと、それが重要になることを予期しているのかなと僕は受け取りました」とシャマラン監督が本作に込めた意図を推察。また、「回想シーンの入れ方がうまい！」と唸る岸本。「回想シーンを入れることで、『あの時の自分の選択は正しかったのか、間違っていたのか』を思い起こさせる。未来の自分たちから見た過去の自分への問いかけの演出は見事だと思いました」。

都市ボーイズ・岸本誠が感じた『ノック』の恐怖とは？