宮野真守や緒方恵美、戸田恵子…隅から隅まで豪華声優がひしめき合う『シャザム!~神々の怒り~』”神すぎる”日本語吹替版をレビュー
戸田恵子&朴ろ美&鬼頭明里が姉妹役で共演!怖すぎる“神の娘”たちに震える
シャザムの前に立ちはだかる、“神の娘”三姉妹の日本版声優もなんともゴージャスだ。冷酷&聡明でありつつ、シャザムに対して怒りを爆発させる長女のヘスペラ(ヘレン・ミレン)は、映画、ドラマ、アニメ、舞台と幅広いジャンルで活躍する戸田恵子が担当。威厳と品格をたっぷりと漂わせながらシャザムを追い込み、観客までを震え上がらせる。華麗なアクションも繰り出すクールさや、いつの間にか愛着が湧いてしまうような魅力のあるヘスペラは、百戦錬磨の戸田だからこそ担うことができたキャラクターだろう。
凶暴で野心煮えたぎる次女、カリプソ(ルーシー・リュー)を演じたのが、「鋼の錬金術師」のエドワード・エルリック役や、昨年は舞台「千と千尋の神隠し」で演じた湯婆婆役も話題となった朴ろ美。カリプソは、バッサバサと羽を広げる巨大ドラゴンに乗って地上に降り立つなど、ヴィランとして抜群の存在感を放つキャラクターだ。朴の芝居からも、戦いを楽しんでいるかのようなカリプソのダイナミックな迫力があふれだし、強烈なヴィランぶりに思わずニヤリとさせられる。
そして謎めいた三女で、物語の重要な秘密を握っているアンテア(レイチェル・ゼグラー)に抜てきされたのが、大のヒーロー映画好きでもある鬼頭明里だ。「鬼滅の刃」ではセリフの多くを唸り声で表現しなければいけない難役である禰豆子に挑戦して、表現力の振り幅を示した鬼頭。本作では、地球を襲来するはずの存在でありながら、周囲を虜にしてしまうようなキュートな魅力満載のアンテアを溌剌と演じ、観る者をクギ付けにする。戸田、朴、鬼頭という世代を代表する声優たちが、個性だらけの“最恐姉妹”として共演していることも、本作の吹替版が見逃せない大きな理由だ。
ここにもあそこにも豪華な声優が…お宝を探すような楽しさ!
まだまだ本作には、豪華声優がひしめき合っている。ビリーを支える親友フレディ(ジャック・ディラン・グレイザー)を演じるのは、「銀魂」の志村新八役や、「炎炎ノ消防隊」のヴィクトル・リヒト役などで知られる阪口大助。本作では、ビリーとの絶妙なコンビネーションだけでなく、女の子の前で緊張して声がひっくり返ってしまったり、彼女の一挙手一投足に戸惑ったり、喜んだりと、“恋するフレディ”をみずみずしく演じている。
ビリーの養姉妹であり大切な仲間のメアリー(グレイス・キャロライン・カリー)は、「涼宮ハルヒ」シリーズのハルヒや、「DEATH NOTE -デスノート-」の弥海砂役で大人気を博し、ミュージカル界での活躍も目覚ましい平野綾。同じくビリーの仲間であるユージーン(イアン・チェン)は、人気子役で成長も著しい寺田心。ビリーに“シャザム”の力を与える魔術師シャザム(ジャイモン・フンスー)は、「銀魂」の坂田銀時役や「ジョジョの奇妙な冒険」のジョセフ・ジョースター役などでお馴染みの杉田智和。転機を迎えたメアリーのジレンマや魔術師のこじらせぶりも興味深く、声優たちの熱演も光るカラフルなキャラクターたちが、物語の世界観を一層深化させている。さらに遠藤綾や小野大輔、櫻井孝宏、三石琴乃、楠大典などなど、錚々たる声優陣が参加。スピード感も最高で、テンションがぶちあがる展開の連続となる本作。その勢いに存分に乗っかるためにも、字幕版と共に、ぜひ吹替版も楽しんでほしい。
※朴ろ美の「ろ」は「王へんに路」が正式表記
※禰豆子の「禰」は「ネ+爾」が正式表記
文/成田おり枝