“理想の8等身イケメン”のチャ・ウヌ、頭脳明晰な優等生から韓国を代表する俳優になるまで
癖のない端正なルックスと、180cmを超える長身。深みのある甘い声と、笑えば三日月になるまるい瞳。まさに“マンチッナム(漫画から出てきたような美青年という意味の韓国語)”であるチャ・ウヌ。
ここまで非の打ちどころがないほど美しければ、たとえ俳優としての活躍について“ルックス先行”や“アイドル俳優”と言われたとしても、仕方ないとさえ思える。けれどチャ・ウヌは、天性のルックスに頼ることなく、キャリアを重ねると共に俳優としての安定感と存在感を増した。特に近年は、作品を重ねるごとに新境地を見せている。本稿では、3月30日に誕生日を迎えたチャ・ウヌの俳優としての歩みを振り返ってみたい。
裁判官になる夢を抱いていた少年、説得の末にアイドルとしてデビュー
チャ・ウヌが俳優として初めて世に出たのは、2014年9月。映画『世界で一番いとしい君へ』(14)のワンシーンだ。劇中で、早老症の少年、アルム(チョ・ソンモク)が「もしも病気でなければ」と想像した、“健康なアルム”としての出演。眩いばかりの健康的な美しさが、せつないシーンでもあった。その後、ASTROとして2016年に1stミニアルバム「Spring UP」をリリースし、アイドルとしてデビューを果たす。
そもそも現事務所に入るまで、芸能自体に興味がなかったというチャ・ウヌ。頭脳明晰であることでも知られる彼は、スカウトを受けた中学生当時、名門ソウル大学に進学し、裁判官になるという夢を抱いていたという。説得の末に練習生となったものの、当時の進路については「正直、俳優をやりたかったんです。でも事務所で進行していたアイドルプロジェクトを進められ、ダンスと歌を習い始めました」と明かしている。
初ドラマ主演で、期待の若手俳優として大ブレイク!
本人役やアイドル役を経て、期待の若手俳優として注目を集めたのは、2018年の主演ドラマ「私のIDはカンナム美人」。チャ・ウヌは、容姿を理由にいじめられた過去を持ち、整形して生まれ変わったヒロイン・ミレ(イム・スヒャン)の中学時代の同級生で、他人に関心を持たない青年ギョンソク役を演じた。裕福な家庭に生まれ、成績優秀ながら、心に傷を抱えているギョンソク。大学でミレと再会し、彼女と向き合うことで、固く閉ざされた心に変化が訪れる。
美男子役であることはもう、逃れられない宿命だ。2020年の主演ドラマ「女神降臨」も、外見にコンプレックスを持つジュギョン(ムン・ガヨン)をヒロインとし、チャ・ウヌは、文武両道で学校中の注目の的ながら、とある傷を抱える同級生のスホ役を演じている。いずれもチャ・ウヌの代表作と言えるが、両作の設定がやや重なっていることについては苦労があったと、自身ものちに明かしている。
しかし、時を経て近しい役どころを演じたことにより、俳優としての成長や、彼自身が持つオリジナルの魅力に改めて気付く機会にもなった。もちろん描写の違いはあれど、非現実的なキャラクターに対して、より一層の人間味を与えられるようになったと感じる。念のために言い訳をしておくと「非現実的」というのは決して否定的な意味ではなく、我々の日常にこんなヒーローは…まあいないということだ。
バラエティコンテンツやトーク番組で見せる、チャ・ウヌの飾らない素顔や茶目っ気がうまく芝居に融合した結果、ギョンソクにはギョンソクの初々しいかわいらしさ、スホにはスホの愛情深さが感じられ、いずれも愛されるキャラクターになった。「2021 Asia Artist Awards」では、「女神降臨」にて“エモーティブ賞”を受賞。同アワードではASTROとしても“AAAベストミュージシャン賞”受賞を果たし、スピーチではメンバーに見守られながら「うれしさ2倍」と話したチャ・ウヌ。「“エモーティブ”というのは、感情をうまく伝えられたということですよね。これからもさらに感情を伝えられる歌手、俳優になりたいです」というコメントも印象的だった。感情を内に秘める役ほど難しいものはない。ほっと肩の荷をおろしたようなスピーチであり、日ごろの苦労や苦悩を決して表に出さない密かな彼の努力が、多くの人に認められた瞬間でもあった。