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広瀬すず×櫻井翔が語り合う、俳優としての歩みと映画『ネメシス』での再会「この空間にはもう信頼しかない」

インタビュー

広瀬すず×櫻井翔が語り合う、俳優としての歩みと映画『ネメシス』での再会「この空間にはもう信頼しかない」

「仕事に対する感覚は、180度変わった気がする」(広瀬)

真摯に役と向き合ている広瀬すず
真摯に役と向き合ている広瀬すず[c]2023 映画「ネメシス」製作委員会

――広瀬さんは、女優デビューから今年で10年経ちますが、心境の変化はありましたか?

広瀬「ありました。最初のころは『辞めたいな』と思っていた時期もありましたけど、『いま辞めたら中途半端だな』『辞められなくなってきたな』みたいな、緩やかな変化があった気がします。ある意味すごく人間っぽいとも言えるんですが… (笑)」

櫻井「なるほど。グラデーションがあるんだ」

広瀬「多分、周りからどれだけ『お芝居に向いてるよ』と言われても、自分が本当に好きじゃなかったら続かないと思いますね。だからこそ、好きなことはちゃんと貫きたいし、そこだけは自分に嘘をつくのをやめようと思っているんです。でも結局は、『こんなこと言われた!』とか『あれができなかった!』みたいに悔しくなったり、舞台や映画を観て『あの作品いいな』と感じたりもします。仕事関係のことで自分の心が一番動いているのがわかるので。仕事に対する感覚は、180度変わった気がしますね」

櫻井「すずちゃんは鍛錬するのが好きだよね。“刀を磨ぐ”のが苦にならないというか、どちらかと言うとそういう作業が好きだから、その結果として出てくる表現がすてきなものになっているんじゃないかなと。『ネメシス』の撮影後にすずちゃんが出演していた『Q:A Night At The Kabuki』という舞台を観に行ったんですけど、それも本当にすばらしかったので。すずちゃんの作品に懸ける情熱が漏れ伝わってくるというか。その表現に至るまでに費やした時間なのか、傾けた想いなのか。それがいったいどういうものなのかまでは僕にはよくわからないけど、そういったプロセスが観ている側にもちゃんと伝わってくるようなところがあったんですよね」


「お芝居していて『楽しい!』と感じるようになったのは、自分のなかの変化としては大きい」(櫻井)

櫻井翔が俳優業に対する想いを明かす
櫻井翔が俳優業に対する想いを明かす[c]2023 映画「ネメシス」製作委員会

――櫻井さんご自身は、俳優業に対する想いや向き合い方に変化はありますか?

櫻井「いや…わからないですね。僕は何年かに一回しか映像作品に出てないし、ましてや映画は『ラプラスの魔女』以来で、『この数年、広瀬すずとしか映画に出てない』と言ってもいいくらいのペースだから(笑)」

広瀬「アハハ(笑)。本当ですね。そういえば私、『ラプラスの魔女』でも“作られた人間”の役をやってるんですよ。だからいつも『翔さんは人間の役でいいな』と思ってて(笑)」

櫻井「それ、(妖怪人間)ベム、ベラ、ベロの言い方だから(笑)。でも、言われてみたら本当にそうだね」

広瀬「なぜだかわからないけど、どちらもお父さんしかいない役です」

櫻井「その設定、“広瀬すずあるある”だね(笑)」

広瀬「だから『私が“作られた人間”の役をやる時は、翔さんとなんだろうなぁ』って思うくらい(笑)。この空間にはもう信頼しかないです。一緒にお芝居するのが楽しいです」

櫻井「楽しいよね。それこそ僕も20年くらい前は、さっきのすずちゃんの話じゃないけど、『悔しいな』とか『納得できなかったな』と感じることのほうが多かったし、もちろんいまでもそう思うことはあるけど、お芝居していて『楽しい!』と感じるようになったのは、自分のなかの変化としては大きいんじゃないかと思いますね。すずちゃんみたいに、お芝居でご一緒する機会が多くて、お互いのこともよく知ってて、距離が近ければ近いほど、『ヨーイ!』で、カチンコが鳴った後にどう出てくるのか。そこからの“つばぜり合い”じゃないけど、お互いが“真剣を抜く”瞬間にめちゃくちゃ緊張感があって、すごく楽しみなんです」

取材・文/渡邊玲子

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