燃え上がる世界遺産に飛び込だような臨場感!世界が驚愕した「死者ゼロ」の奇跡の救出劇『ノートルダム 炎の大聖堂』は”IMAX推し”
2019年4月15日、セーヌ川のほとりに建つノートルダム大聖堂で火災が発生。大聖堂を象徴する尖塔の焼失など甚大な被害を及ぼした。パリのランドマークとして親しまれてきた世界遺産の出来事として、世界中から注目された災害を映画化したのが『ノートルダム 炎の大聖堂』(4月7日公開)だ。徹底したリサーチに基づき、火災発生から鎮火までを忠実に描いた本作は、全編IMAX[R]認証デジタルカメラで撮影。迫り来る炎や崩れ落ちる天井など、迫真の映像がIMAXならではの臨場感で描かれる。実際IMAXスクリーンで味わうと、燃えさかる巨大な炎の映像や地響きのような燃焼音は恐怖すら感じさせる衝撃的なリアリティ。映像と音響に包み込まれるIMAXの威力を改めて実感させられた。そんな本作のIMAXならではの見どころを紹介したい。
ノートルダム大聖堂に訪れたかのよう…ディテールからゴシック傑作の美を堪能
いつもどおりの1日が過ぎようとしていた夕刻、ミサのため集まった人々が大聖堂で「アヴェ・マリア」の調べに耳を傾けるさなか、突然、警報装置が作動。機械の故障だと思い込んだ関係者の対応が遅れるなか、大聖堂から黒煙が立ち上る。消防隊が出動するが火は燃え広がっていくばかり。崩落の危機が迫るなか、消防士たちは決死の覚悟で大聖堂に突入した。
本作は当時大聖堂で起きた出来事を時系列に沿って描いている。幕開けは、火災発生当日の朝。警備担当者や大聖堂の修復作業員の出勤風景、次から次に世界各地から訪れる見学者…。大聖堂やその周辺の様子を丹念に描いた冒頭パートでは平穏な日常が描かれる。空撮による俯瞰や低い位置から見上げたり、様々な角度から大聖堂を捉えることで、ゴシック建築の傑作を細かなディテールまで描写。IMAX認証デジタルカメラが克明に捉えた、美しく複雑な形状に思わずため息が出る。
また大聖堂の狭い通路や階段を使った動線や、重要な聖遺物が多いため一つ一つの扉に施錠するなど、様々な仕来りに従う聖職者たちの日常も丹念に描写。これらの映像はノートルダム大聖堂の歴史や重みを伝えてくれるだけでなく、困難を極める消火作業への伏線にもなっている。
名匠ジャン=ジャック・アノーがドラマチックに描いた「死者ゼロ」の救出劇
本作の監督は『薔薇の名前』(86)や『セブン・イヤーズ・イン・チベット』(97)の名匠ジャン=ジャック・アノー。映画化にあたり映像を含む多くの資料を集め、関係者たちへのインタビューも行い大聖堂での出来事を忠実に再現。劇中では消防士や寺院関係者の奮闘をスリリングに描いているが、そこには後付けした人間ドラマは存在しない。その再現率は実に98%、つまり“実話に基づく物語”どころかフィクションの要素ほぼゼロという純度の高いドキュメンタリードラマとして完成した。
大聖堂の描写は厳かな雰囲気に満ちているが、その合間に作業員が火の付いたタバコを投げ捨てたり、鳩についばまれ電線が火花を散らすカットを時おり挿入。次第に不穏な空気が漂いだす。このあたりのサスペンス描写は技巧派、映像派として評価の高いアノー監督の独壇場。撮影や編集、音楽などあらゆるテクニックを駆使してスリルを盛り上げる。
なお大聖堂の出火原因は、後の調査で「不明」と結論づけられた。映画もそれに沿い、可能性として取り沙汰されたタバコの不始末や設備不良の描写はあるが、どれも原因だと断定はしていない。ゴシップ的な要素は省き、事実だけに準じたニュートラルな姿勢にアノー監督はじめ作り手たちの誠意を感じる。
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