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約10年で深度が増した恐怖の少女エスター…再演のイザベル・ファーマンが語る極意とは?

インタビュー

約10年で深度が増した恐怖の少女エスター…再演のイザベル・ファーマンが語る極意とは?

「大変だったのは10歳の頃の私らしさを取り戻すこと」

エスター ファースト・キル』は前作から遡ること数か月前から始まる。つまり、実年齢33歳というエスターのキャラクターはほとんど変わっていないものの、彼女を演じるファーマンは撮影時23歳という少々ややこしい背景がある。再びエスターを演じることを「何年も履いていなかった靴に足を通すような感覚」と表現するファーマンに、本作に出演することになった当時の心境も聞いてみた。

「今回は私自身が大人になった状況で、少女を装うエスターを演じないといけませんでした。そのうえで大変だったのは、10歳の頃の私らしさを取り戻すことです。前作とは違い、大人の女性の仕草はわかっているので、少女としての心情や体の動かし方、表情などを思い出すことを心がけました」。

失踪したエスターになりすましたリーナは、オルブライト家へ迎え入れられる(『エスター ファースト・キル』)
失踪したエスターになりすましたリーナは、オルブライト家へ迎え入れられる(『エスター ファースト・キル』)[c]2021 ESTHER HOLDINGS LLC and DC ESTHER HOLDINGS, LLC. All rights reserved.

続けて、再演することへの喜びも振り返る。「今回の脚本を読んだ時に、“新しいチャレンジ”ができると思ってうれしくなりました。単なるホラーではなく、観客を驚かせるストーリーとでも言うのでしょうか。独自のジャンルを作れるぞ!という楽しさもあり、撮影の度にワクワクして新しい発見がありました。また、前作では大人たちが作ってくれたビジョンのなかに私が入っていく感覚でしたが、今回はチームとして一緒にコラボレートできたとも実感しています」。

見事なピアノの腕前を披露するエスターことリーナ(『エスター ファースト・キル』)
見事なピアノの腕前を披露するエスターことリーナ(『エスター ファースト・キル』)[c]2021 ESTHER HOLDINGS LLC and DC ESTHER HOLDINGS, LLC. All rights reserved.

「エスターをどうやって応援してもらうか、好きになってもらえるか」

“新しいチャレンジ”とは、本作がエスターの視点で物語が進んでいく構成になっているということだろう。多くの観客はエスターの正体について知っているため、そこを軸にストーリーを展開しても新鮮味は感じられない。そのため、凶暴で残酷な彼女の内面を掘り下げ、前作でも触れられていたピアノや絵画といったアートへの嗜好も見せながら、キャラクター造形をより奥深いものにしていると考えられる。さらに、精神科病院での隔離生活が長かったことからの自由への渇望、少女として振る舞いながらも子ども扱いされることへの抵抗感を持つという矛盾した彼女の鬱屈した心情も映しだされている。その結果、観客はこの恐るべきサイコパスに思わず共感してしまうという、不思議な感覚を味わうことになるのだ。


「役作りのアプローチは前作とさほど変わらないのですが、エスターのことをどれだけ理解できるかは意識しました。ホラーアイコンとしての彼女はみなさんに知られていると思うのですが、今回はそのような悪者をどうやって応援してもらうか、好きになってもらえるかを考えながら、人間的な側面を見せられるように試みていたんです」。

娘との再会を心から喜ぶ芸術家の父アレン(『エスター ファースト・キル』)
娘との再会を心から喜ぶ芸術家の父アレン(『エスター ファースト・キル』)[c]2021 ESTHER HOLDINGS LLC and DC ESTHER HOLDINGS, LLC. All rights reserved.

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