“オスカー女優”ジェイミー・リー・カーティスが語る『ハロウィン』との45年「この結末を誇りに思う」
「私はローリー・ストロード、ローリー・ストロードは私。私たちはいま一つになりました。でも最初はそうじゃなかった。初まりは1978年、ローリーは、まだ私が演じる役の一つに過ぎなかったのです」。
鬼才ジョン・カーペンター監督が生みだし、ホラー映画の金字塔として数多くのクリエイターたちに多大な影響を与えてきた「ハロウィン」シリーズの最終章『ハロウィン THE END』が、いよいよ公開を迎えた。シリーズ1作目で“ブギーマン”ことマイケル・マイヤーズと対峙する高校生ローリー・ストロード役を演じ映画デビューを飾ったジェイミー・リー・カーティスは、自身のキャリアと決して切り離すことのできない役柄との別れを惜しむ。
「私はいまローリーにさよならを告げようとしています。どこに行っても観客は彼女を愛してくれましたし、皆さんの愛とエネルギーを私はずっと受け止めてきました。毎日涙が出るほどの感情が押し寄せてくるこの別れに、いま正面から向き合っています」。
『ハロウィン』(78)とその続編『ハロウィンII』(81)でローリー役を演じ、“ホラークイーン”として絶大な支持を集めたカーティス。シリーズは継続したものの、3作目以降しばらくカーティスの出演はなく、7作目の『ハロウィンH20』(98)で17年ぶりにローリー役に復帰。続く『ハロウィン・レザレクション』(02)を経て、シリーズ1作目からちょうど40年を迎えた2018年にスタートした正統続編『ハロウィン』(18)で16年ぶりの再復帰を果たすと、前作『ハロウィン KILLS』(21)、そして『ハロウィン THE END』が立て続けに公開。これまでカーティスは計7作品でローリー役を演じてきたことになる。
最新作では、前作のラストでローリーの娘カレン(ジュディ・グリア)がマイケル・マイヤーズによって殺害されてから4年後が描かれる。ローリーは孫娘のアリソン(アンディ・マティチャック)と暮らしながら回顧録を執筆し、40年以上もマイケルに囚われ続けてきた自分の人生を解放しようとしていた。その頃、暗い過去を持つ青年コーリー(ローハン・キャンベル)が、4年間姿を消していたマイケルと遭遇したことをきっかけに新たな恐怖の連鎖が始まる。そしてローリーは、マイケルとの最後の対峙を決意する。
「本作のローリーには、1978年の彼女に通ずるものが感じられました」と今作でのローリー像について語るカーティス。「だから演じるうえで、特別なリサーチや話し合いは必要ありませんでした。子どもが死んだことから立ち直れる親なんていませんが、人は前に進むことができる。今作で私たちが出会うローリーは、そんなところにいるのです」と、自らの分身ともいえるローリーの心理に寄り添いながら、この最終章に臨んだことを明かす。
そして、「ローリーとマイケルがどのようにぶつかり合い、物語がどのように完結するのか。ファンの間で飛び交っていた様々な予想に対して、デヴィッド・ゴードン・グリーン監督はフルスイングで挑んでくれました。予測もしていなかったパワフルな音楽で始まり、最後には大音量で登場人物が絶叫する。『ハロウィン』に期待されていることがすべて起きますが、これまでのシリーズとは違う結末を迎えるのです。私はそれをとても誇りに思っています」と、シリーズを完全復活に導き完結させたグリーン監督の手腕を称えた。
先日『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(公開中)で第95回アカデミー賞助演女優賞を受賞したカーティスは、「ホラー映画を作ることは、とても興味深い仕事です」と、自身の原点であるシリーズが幕を下ろすことに感慨深げな表情を浮かべる。「何百人ものスタッフ、キャストが一つの瞬間に集中して作っていくという点では、一般的な映画と同じです。ただ、血がたくさん出るので現場は少しベタベタしてますけどね(笑)。そして最後はいつも感情的になります。このシリーズに携われたことは、私の人生にとって特別な経験でした」。
構成・文/久保田 和馬