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神木隆之介『大名倒産』の江戸から「らんまん」の明治へ「いろいろな時代を生きてきたことが役に立っています」

インタビュー

神木隆之介『大名倒産』の江戸から「らんまん」の明治へ「いろいろな時代を生きてきたことが役に立っています」

「僕もこんな時代があったなぁってしみじみしました」

小四郎の実の父、一狐斎はすべての責任を息子に押し付け、切腹させることまで企んでいるが、佐藤浩市演じる一狐斎は佇まいからその強さがにじみ出ていたという。「一狐斎自身も強くてクセのあるキャラクターですが、それを演じる浩市さんの存在感もすごくて。『強い』『手強そう』と感じずにはいられません(笑)。小四郎を裏切り騙して脅迫もしてくるけれど、実の親子なので“仲の悪いバディ”のような雰囲気になればいいなと思っていて。敵対しているけれどどこかで信頼していて心から憎むことができない。そんな関係が出せたのは浩市さんに対しての僕自身の信頼もあったからだと思います」と一筋縄ではいかない関係性の表現に触れた。

先代藩主で実父の一狐斎 (佐藤浩市)と腹の探り合い!
先代藩主で実父の一狐斎 (佐藤浩市)と腹の探り合い![c] 2023映画『大名倒産』製作委員会

小四郎の幼少期を演じた子役の山田暖絆については「すごくかわいい子だったので、もっと幼少期パートを増やして全体の9割くらいにした映画でも良かったんじゃないかな(笑)。一生懸命演じてくれてすごくありがたかったし、僕もこんな時代があったなぁってしみじみしました。がんばっている姿を見ると応援したくなりますよね」と優しい笑顔を浮かべた。

時代劇ならではの所作については「NHK大河ドラマ『平清盛』で源義経を演じた時に着物での所作には触れていましたが、今回は江戸時代。現代に通じる部分もある時代ですが、それなりに身につけるべきことがありました。いま連続テレビ小説『らんまん』で明治時代を生きているのですが、実は『大名倒産』でやった所作が役に立っていて。畳のへりを踏まないとか、へりの手前でお辞儀をするなど、気をつけるべき点がたくさんあります。でも、所作指導の先生から指摘されることがほとんどないのは『大名倒産』をやっていたおかげだなって。お芝居でいろいろな時代を生きてきたことが役に立っています」と笑みを浮かべるも、「江戸を経て、いま明治を生きているところなので、そろそろ現代に戻りたい気もしています(笑)」と、ちょっぴり現代劇を恋しがっていた。

映画には現場の楽しい雰囲気が出ているとニッコリ
映画には現場の楽しい雰囲気が出ているとニッコリ撮影/YOSHIHITO KOBA(Sketch)

前田監督は本作のエンディングに若者へのエールを込めたと明かしている。若者の時代劇離れなども囁かれるなか、神木は本作で若者にどんなメッセージが伝わると感じているのだろうか。「作品からのメッセージとかあまり考えずに、気楽に楽しんでほしいというのが本音です。でも、あえて言うなら『なんとかなるよ』でしょうか。昔から『雨の後には晴れが来る(どんなに悪い状況でもいずれは時間が解決し良い方向に向かう)』という言葉があるけれど、米津玄師さんの歌のように、いまが(雨で)大変なんだから、いま傘をさしてよ!という人もいるはず。そうだよねとも思うけれど、個人的には、踏ん張ったり、ちょっと遠回りするのも悪くないと思っていて。

ハートフルでハッピーな大逆転劇の行方は!?
ハートフルでハッピーな大逆転劇の行方は!?[c] 2023映画『大名倒産』製作委員会

頑張っても叶わない夢があるのは当然知っているけど、僕はその努力が無駄とは思いません。踏ん張ったことでしか得られない経験があるし、思い通りの結果にならなくても、その先に『がんばってよかった』と思う景色が見られると信じています。それを楽しみにというか、少しの希望にしてほしいかな…と自分に言い聞かせています。誰かに呼びかけているようで、実は自分へのメッセージです(笑)」。


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