横浜流星『ヴィレッジ』で新境地!作間龍斗から「大きな背中」藤井道人監督から「大人になった流星を見れた」と絶賛され照れ笑い
横浜流星が藤井道人監督と6度目のタッグを組んだ映画『ヴィレッジ』の公開記念舞台挨拶が4月22日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、横浜をはじめ、黒木華、中村獅童、奥平大兼、作間龍斗、藤井監督が登壇した。
本作は“村”という閉ざされた世界を舞台に、同調圧力や格差社会、貧困、道を誤ったら這い上がることが困難な社会構造の歪みといった、現代日本の闇をあぶり出すサスペンス・エンタテインメント。横浜が、ダークサイドに堕ちた青年の優を演じた。また、『新聞記者』(19)や『MOTHER マザー』(20)など意欲作を世に送りだし、2022年6月に亡くなったスターサンズの河村光庸プロデューサーが手掛けた最後の作品となった。この日はエンドロール後に大きな拍手が上がり、上映後の熱気のなか、登壇者陣が入場した。
過酷な運命に抗い、負のスパイラルから抜けだそうとする優の変化を演じ切った横浜は、「最初は感情を放出する術がわからない人間」と役柄について分析し、「感情を内に沈めることがとても大変で、コップに水がどんどん溜まっていって、あふれてしまうような不安定さ。その塩梅を表現することがすごく難しかった」と演じるうえでの苦労を吐露。
優は、美咲という女性と関わるなかで希望を見出していくが、美咲役の黒木が「横浜さんに最初にお会いした時は、内にこもっている状態だった。声もかけづらくお話もしづらい感じだった」と役柄に入り込んでいた横浜の様子を明かし、これには横浜が「すみません」と照れ笑い。黒木は「ずっと糸をピンと張られていた。集中力がすごかった。打ち解けられてからは、にこやかに、くだらない話もできるようになっていた。その変化の行き来は難しかったと思いますし、すごいなと思いました」と難役をストイックに演じ切った横浜を称えた。横浜は「優と共に、自分も(黒木と)距離を近づけられたなと思っています」と現場を振り返っていた。
横浜の事務所の後輩でもある奥平は、「足場が悪く、ぬかるんでいる場所で撮影をしていたので、バランスを崩すことが多かった。そういう時に、さりげなく『大丈夫?』と言ってくれて。かっこよ!と思って。これはちょっとヤバいなと思っていました。あれは食らいました」と改めて横浜のかっこよさに惚れ惚れ。
作間は「一番最初に会った時は、横浜さんが髭を生やしていた。テレビで観ていたキラキラした横浜流星さんをイメージしながら現場に行ったので、『髭が生えている!』と思って最初はびっくりしました」と笑いながら、「その表情を見て、僕も気が引き締まった。こういう感じの作品なんだと、横浜さんの姿からわかった。追いかけていく背中として、大きなものだなと思いました」と横浜の背中に頼もしさを感じたという。出会いから7年、横浜と親交を深めてきた藤井監督は「今回の決め事として、『没入しすぎて、周りが見えなくなってしまうのは、やめにしようぜ』と。今回は座長として、大兼や、作間くんなど若い子たちもいるから、広い視野でやろうと。大人になった流星が見れたなと思いました」と横浜の成長に思いを馳せていた。
能から影響を受けている作品となるが、藤井監督は「河村プロデューサーが、一番最初に『能を題材にやりたい』と言っていた。2019年からコロナ禍において、エンタテインメントは必要なのかという議論が起きた時に、河村さんは『エンタテインメントは不滅である』という熱い想いがあって、日本最古の芸能を使って『ヴィレッジ』を描きたいという想いが強くあった」と河村プロデューサーの情熱が注ぎ込まれていると話す。横浜は「エンタメは、本当に必要だと思っている。いま『ヴィレッジ』以外にも、たくさんすてきな映画が公開されている。日本の映画の未来を明るくするために、ぜひ映画館で映画を観てくださる方がもっともっと増えていってくれたら、幸せだなと思います」と願っていた。
取材・文/成田おり枝