「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」前2作のサントラをプレイバック!“最強ミックス”テープでたどるはぐれ者たちの冒険
スリルとユーモアが共存するガーディアンズらしいバトルシーンを彩る「ミスター・ブルー・スカイ」と「サザン・ナイツ」
続く2017年の第2作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』では、クイルはこの最強ミックスVol.2を愛聴。冒頭の怪物退治では、ベビー・グルートが戦っている仲間たちをよそに、このテープからエレクトリック・ライト・オーケストラ(ELO)の「ミスター・ブルー・スカイ」を流しながらリズムに乗って踊ってみせる。スリルとユーモアが入り混じる、いかにもガーディアンズらしい名場面。スリルとユーモアの混在という点では、クイルらほかのメンバーとは別行動を取り、グルートと共に惑星ベアハートの森に残ったロケットが、ガーディアンズを捕えにやって来たラヴェジャーズの面々をトラップでポンポンと跳ね飛ばして大笑いしている場面も印象的。ここで流れるグレン・キャンベルの「サザン・ナイツ」が、どこかノンビリした雰囲気で、妙におかしい。
クイルと父エゴとのドラマを象徴する「マイ・スウィート・ロード」と「ブランディー」
一方のクイルは実の父であるエゴ(カート・ラッセル)と対面し、高揚した気分で彼が統治する惑星へと向かうが、ここではジョージ・ハリスンの「マイ・スウィート・ロード」がクイルの気持ちを表現しているかのよう。しかし、エゴの野望がしだいに明らかになり、母の遺したウォークマンを彼が破壊した時、クイルはエゴが尊敬すべき父ではないことを悟る。このウォークマン破壊前に聴こえているルッキング・グラスの「ブランディー」は、冒頭で若き日の彼の母とエゴがドライブしている場面のBGMでもある。それを踏まえると、母を愛するクイルの想いが実父によって踏みにじられたともいえるだろう。
ヨンドゥを讃えるせつない「ファーザー・アンド・サン」からエンディングをポップに高める「サレンダー」へ
クライマックス、エゴとの戦いで危機に陥ったクイルを救ったのは、彼の育ての親であるヨンドゥ(マイケル・ルーカー)。彼はこのバトルで命を落とす。宇宙葬を描いたラストを彩るのは、キャット・スティーヴンスの「ファーザー・アンド・サン」。父が息子に、息子が父に語りかけるこの曲の歌詞は、情感あふれるメロディと共に泣きの結末を盛り立てる。でも、湿っぽい結末はガーディアンズらしくない!これを中和するかのように、エンドクレジットではチープ・トリックの名曲「サレンダー」がせつなさを引きずりつつも、気持ちをポップに高めてくれる。
1980~90年代のヒット曲が多数収められている『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』
このように「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」でフィーチャーされるナンバーは、シーンの状況やキャラクターの心情にマッチしたものが多く、セレクトは考え抜かれている。現時点では待望の新作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』で、それがどんな効果を発揮しているのかはわからない。が、サントラに収録されるナンバーは、すでに判明している。驚かされるのは、前2作とは異なり、レディオヘッドやザ・フレーミング・リップス、ビースティ・ボーイズなど1980~90年代のヒット曲が多数収められていること。
母の“最強ミックス”を見習い、クイルが自分の世代のナンバーを編集したのだろうか?詳しくは映画を観てのお楽しみだが、絶妙なタイミングで流れてくるであろうことは想像できる。その点にも注目して、映画を楽しんでいただきたい。
文/有馬楽